第5話転生つまりは赤ん坊なわけで1


フレイさんと別れて次に意識がはっきりとしたのは・・・


赤ん坊の大きな泣き声が響き渡る部屋でのことだった。

視界は暗く誰かに抱かれている感触があり、どこか懐かしいものを感じた。


俺の周りにも何人かいるのか

あちこちですすり泣く声や大声を上げる男の声が聞こえる。


色々な事を言っているのだと思うのだが、全くと言って良いほど聞き取れなかった。何というか元の世界でのアラビア語に近いようには感じた。


ただ、なんと言うか今はこの心地よさの中で眠りたいなと思ってしまった、その眠りを静かに押してくれるかの様に、子守唄が聞こえ始めた。何番まであるのかリズムも独特で歌詞も分からなかったが、2週目を回る頃には俺は眠りについていた。
















さあさあ意識が二十代後半で、

体が0歳の生活はどうしようもない程の恥ずかしさの連続であった。


まずは食事だ、まあ俺がやってきたこの時代は中世である。

当たり前の様だが、粉ミルクは無いわけで、日本で言えば乳母なんかがいる文明発展した世界だ。そんなわけで俺も乳母と母に母乳を与えられて育ったわけなのだが、意識があるのに毎日飲まされるのは。正直苦痛なのだが、生きる為仕方ないと思い飲み続けた。


赤ん坊生活での不便さは色々とあるがそもそも歩けないだとか、話せないし、感情もどうやら制御出来ないらしく、お腹が空いたな〜と思えば、俺の意思とは別に泣き始める俺。

意思とは別に赤ん坊の生存本能が働いている様だった。

まあ、変に俺の意思が作用していつまでもご飯がこないなんて事は起きないのでその点で言えばよかった事なのかもしれないが…なんとも言えない。(全く泣かない赤ん坊も怖いものだし)


まあ、ただ、赤ん坊生活で食事と双璧をなす恥ずかしさは

排泄以外にはあり得ないだろう。


よくよく考えて欲しいのだが

自身のトイレに行くタイミングなど三時間も四時間も前から分かってることが当たり前の20代後半男性の意識が、分かっていて、なお、何も出来ずただただ漏らす日々を、悲しいし恥ずかしいしで毎度毎度、頭を抱えたくなるのは当たり前のことだと思う。

それなのに自分の意思では、うつ伏せにすらなれない屈辱を。

間違いなく俺の人生史上最高に恥〜事この上なし!!恥ずかしさなのか、自虐なのか、精神が軽くおかしくなる位には俺が自由に歩ける様になるまで俺の赤ん坊生活は続いた。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る