第4話転生のお約束は大体こんな感じ3
フレイさんから聞かされた話はまとめてしまうとこんな感じで、
本来ならば俺が寝っぱなしで所持金を持ってかれて不幸だったと言いながら、襲われなくて良かった。と、同僚達が慰めてくれる予定だったのだが…何故か起きて殺されてしまう流れになってしまったので、その補填として転生する事になったという事だった。
「謝って済む問題ではないのですが…本当に申し訳ありません」
と先ほどよりも一段階ほど低い声音であったが、はっきりとした謝罪の言葉を口にした。
とはいうものの未だに夢の様な感覚が抜けておらず未だに実感が湧かない為
「大丈夫ですよ…謝罪も大丈夫ですから…顔を上げてください…それにほら転生の具体的な内容も俺聞いてないのでそっち聴きたいです」
半ば強引に話を変える事にした。この状況に慣れ、感情に任せて暴れるかもしれないと頭に過ぎった為ここから去ってしまうのが一番だと思ったからだ。(多分大丈夫だと思いたい)
フレイさんが顔を上げ一瞬俺の瞳を見るそして、その後にこう口にする。
「榊原様はお強い心をお持ちなのですね…それでいて周りの人の配慮を優先できるお方なのですね…何人か見て来ましたが初めてかもしれないです。そんな素敵な方ですし、もう特大サービスさせて頂きます!」
と先程の謝罪とは違い、元の声音に戻っていた。
これからの対応でしっかりと償うという心いきが感じられた。
「それでは、転生という事ですので、今一番アクティブな世界で、中世時代頃の技術力、剣魔法のこの世界ですかね。日本の方だと奴隷制度のある所に行きたいって人が大半なのでここの世界かな」
と、空中に現代でいうキーボードとデスクトップの様なもの(何故か半透明な青色)を出して打ち込みを始めた何というか喋りがさきほどの倍以上になっていた。
「あ!?榊原様はスキル何がいいですか三つまでなら取ることができますよ」
とガタガタキーボードを言わせながら、こちらに話をしてくる。
スキルって何ですか?と言いかけた後、頭に情報が流れてくる、スキルの名前や効果メリットデメリットを元から知っていたかの様な錯覚を起こすほどに鮮明に覚えていた。
「この三つがいいです。すいません、俺の元の世界の事なんですけど。俺の存在を消すことって出来ませんか?」
そう頼んでみると…
フレイさんはこう答えた
「流石に出来ないけど…なるほど…そういう事なら、君の死に対して躍起になって頑張る様に仕向ける事は出来るよ…ただ、一つのスキルがランダムで選ばれるかも結構ギリギリまでサービスしてるんだけど…はっきり言うとさ上の神には多分この後叱られるかも」
とベロを出しながら(こんなはっちゃけた顔もできるのかと、見惚れました)優しく答えてくれた。
なるほど心理眼のスキルだったのか、と思いながら
「大丈夫です、フレイさんが設定してくれてるので問題はありません」
そう即答した。
それから、五分足らずで空に浮いていたものをしまい、
フレイさんは立ち上がりこう俺に言った。
「榊原様少し長くなりましたが、準備が整いました。お別れのお時間です。
あのスキルが取れたらまたお話しくらいはできますが、取得する可能性は低いかと思いますし。」
と少し悲しい顔をしていた。
「それなら、また話せる可能性があるって事ですね。じゃあ頑張ってそのスキル取るしか無いじゃ無いですか!!」
元気に言う俺の側を光の渦が出来始め俺を包み始めていく。
「榊原様の要望などは、心理眼で見させて頂きました。ですので、大丈夫かと存じますが、念の為ステータスにも表示しておきます。あげたスキルは消える事はありませんのでご安心ください。それでは、榊原様良いセカンドライフを私からの小さなお願いですが、より良い世界にして頂けたら光栄です。それでは、行ってらっしゃいませ。」
そう最後の言葉をフレイさんは口にし、お辞儀をする。
「フレイさんありがとう。そうだよね、人の道からは外れない様にしたいかな…行ってきます!!」
俺もそれに答え、その瞬間に意識がどこか遠くに持っていかれた。
「行ってらっしゃい…言い忘れましたが、最低でも後一回はお話する機会があるんですけどね」
そう発した言葉もその時の微笑みも女神である彼女以外は誰も知らないのであった。
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