変態男子は後輩に誘惑して欲しい (前)

 橘さんの悩み事を引き受けたと同時に、部活終了を告げるチャイムが鳴り、その日はそのまま解散という流れになった。それが昨日。

 そして今日、俺と琴花ちゃんは部室で話し合いをしていた。

 ちなみに、橘さんは本日は用事のため欠席である。



「センパイ、なにか良い案はありますか?」



 対面に座る後輩が、そう呟く。

 ちなみに現在は、どうしたらカレシが橘さんを求めるのだろうかという話をしていた。



「まぁあるっちゃあるね」


「なんですか?」


「おっぱいを出しちゃえば」


「それだと完全に痴女認定されて引かれますよ」



 そうかなぁ。俺だったら琴花ちゃんがもしおっぱいを出したら食らいつくのに。



「……なにか良からぬ妄想をしてる感じがします」


「んー、いや。俺だったら飛びついていくけどなって思って」


「そんなに警察の方にお世話になりたいなら、最初からそう言ってくれれば良いんですよ?」


「あー出来心だからその手に持っているスマホをしまってくれないかなぁ!」



 そんなことされたら俺、社会的に死んじゃうっ!もうおっぱい揉めなくなるっ!



「……センパイ?」


「はい、すいませんでした……」


「はぁ……まぁでもその案はアリっちゃアリかもしれないですね」


「はっ!やっぱりそうだよねっ!なーんだ琴花ちゃんもそう思ってたんだね。おっぱいは正義!おっぱいおっぱい――痛っ!」


「そうじゃないですよ。勝手にすり替えないでください」



 脛を蹴られた。これ結構マジで痛い。

 蹴られたところをさすりながら、俺は琴花ちゃんに向き直る。



「ってか琴花ちゃんは俺に暴力を振るのが最近のブームなのかなっ?」


「正当防衛です。このままセンパイをほっといたら、いつか私に手を出してくるかもしれないので。……そんなことより本題に戻りますよ」


「あっはい」


「おっぱいを出すっていうのはつまり、相手を誘惑するってことですよね。そういう意味ではアリなのかなってさすがにセンパイのはアウトですけど、こう別のアプローチに変えれば」



 俺は琴花ちゃんの話を聞いてから、少し考えこむ。

 誘惑かぁ。うーん、なんだろう。難しいな。



「あっブラとかパンツ見せたりとかは?」


「……どうしてセンパイは痴女認定されるようなことしか思いつかないんですか」


「ありがとっ☆」


「褒めてないですよ?あと笑顔気持ち悪いですね」



 真顔で淡々とそう告げる琴花ちゃん。

 あっあれ?急に目から水が零れてきたよっ!体って不思議だなぁー……。



「……私が悪かったので泣かないでくださいよ。笑顔の千倍気持ち悪いので」


「それは慰めてるのかなぁ!?」


「……黙秘します」


「なんでっ!」


「そんなことより、誘惑の話ですよ。……なんかセンパイと喋ってると、いつも話題が迷子なってる気がします」



 うん、それは俺も思う。いっつも話が逸れていくよね。なんでだろう?



「あのさ琴花ちゃん、ちょっと良いかな?」


「大丈夫ですよ」


「琴花ちゃんの考える誘惑って、どんなの?」



 素朴な疑問を琴花ちゃんにぶつける。


 自慢じゃないが、俺は恋愛経験なんざない。だから誘惑についてされたことなんてないし、そもそも考えたこともなかった。

 つまり、誘惑ってなにをするのかあんまり分かっていないのだ。


 だし、これは橘さんに提案しなければいけない。それなら、ちゃんと理解しないとなって思う。



「そうですね……えっと……」


「どうしたの?」


「言葉で表しにくいというかなんというか」



 うーん、と考えこむ琴花ちゃん。

 俺はそんな後輩を見て、あることを思いつく。






「ならさ、琴花ちゃん。実際に俺にやってみてよ」










〈13日 18時33分 追記〉

公開させて貰いましたが、ミスがあったため、一度下書きに戻させて頂きました。

申し訳ございません。


〈あとがき〉

今回からあとがきを付け加えさせて貰います。

更新状況や、ちょっとした裏話的なものが出来たらと思います。



明日の午後四時ごろに第五話を更新させて貰います。是非ご覧ください!












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