真っ白羊のムートン
リベルテ無言で立ち上る。僕が意地悪したから、リベルテ怒っているのかな?
「なあムートン。俺はお前に聞いておきたいことがあるんだ」
リベルテは対面から移動して、僕の隣に座った。リベルテの琥珀の瞳。いつもと違って揺らいでる。琥珀が揺れているのをみると、僕もなんだが揺らぎそう。
「お前は羊の群れに帰りたいか?」
今まで僕らが避けてきた話し。リベルテは、真っ直ぐ切り出した。澄んだ声は、きっと嘘を許さない。
「僕は群れに帰らないよ」
「そうだよな。群れに帰……らない?まじでいいのか!お前は白羊なんだ。今ならまだ、群れに帰れんだぞ」
僕は首を横にふる。僕は最初から群れのことなんて、考えていなかった。そこにいたから、羊の群れを追いかけた。羊の群れが見えなくなって、代わりに真っ黒羊を追いかけた。
「お前といる時間は楽しかったよ。だけどよ、これ以上俺といると、本当に群れなしになっちまうぞ。黒い羊は群れない羊。群れない俺を信じられるか?」
「君だから信じるよ。真っ黒羊のリベルテ。例えば、君が羊じゃなくても?」
「なんだよそれ?じゃあお前は、真っ白羊のムートンだな」
真っ白羊は感じてる。真っ黒羊は羊じゃない。真っ白羊は信じてる、真っ黒羊の琥珀の瞳。真っ黒羊の瞳には、確かに熱が宿っているから。
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