羊のマスク

 雨の止んだ平原、二人の羊歩いてく。僕の隣に不思議な羊。マスクの下の毛、真っ黒毛。僕の知ってる羊と違う。僕が疲れて遅れても、静かにじっと待っている。


「お願いだ。俺に羊の群れのことを、教えてくれ」


 真っ黒羊が、まっすぐ僕をみていった。群れの羊と真っ黒羊、何がそんなに違うんだろう。真っ黒羊は本当に、群れの羊だったのか。


 けれども、僕の興味をひくものは。いない羊の群れよりも、目の前にいる真っ黒羊。


 「僕は群れの新人。それでも、話せる時間は多くない………」


 僕は最初にそう言って。真っ黒羊に背をむける。真っ黒羊慌ててる。僕はくすりと笑ってしまう。


 ひとしきり笑った僕は、食事の時から外してた、羊マスクを地面において、迷うことなく蹴飛ばした。


 羊マスクは転がって、止まった先で大爆発。僕ぐらいの羊の頭なら、形が残るか怪しいくらい。

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