第11話 ビーチバレー
俺たちは水着に着替えると、浮き輪などを持って外に出る。俺は中学の時に買ってもらった水着で、男子はみな似たような格好だったが優太は上に黒のラッシュガードを来ていた。
しばらくすると、女子更衣室の方向に視線が向かっているのに気づく。碧たちが着替えて来たのだとすぐにわかったので、ナンパとかに絡まれることがないように小走りで近づくと、周囲から
「男連れかよ」などの声が聞こえてくる。
「ほれほれ〜 現役女子高生の水着はどうだ〜?」
「中学生が背伸びしてビキニを着てみたって感じでいいじゃん」
「お? やるか?」
比較的体の小さい海が感想を求めるが、良太が茶化す。だが良太は目を逸らしているので、照れ隠しなのだろう。実際カラフルな水着は海によく似合っていた。
反対に優菜は恥ずかしがって碧の後ろに隠れていたが、優太が褒めると、ぽわっと花が周囲に咲くような笑顔で喜びを表していた。
皆の様子を横目に見ていると、碧がわざとらしく体を強調しながら聞いてきた。
「どう? 新しく爽に見せるためにかったんだけど...似合ってないかな?」
正直、碧は海と比べて、いや女子高生の中でも特に女性らしい体つきをしているため、見ることができない。
「いや、すごく似合っているぞ。他の人に見せるのが勿体ないくらいだ。」
碧はからかう気満々だったので、からかい返すように答える。恥ずかしいなこれ
「言うようになったね?そっちこそあんなヒョロガリだったのに、結構筋肉ついたじゃん」
あれ、目が笑ってないぞ?おかしいな...
「ああ、毎日筋トレはしてるからな」
「へえ、しっかり続けてるんだ」
えらいえらい、とか呟きながら頭を撫でてくる。
「ほら、もう行くからやめて」
「おっけー! 行こう!」
ビーチというか、泳ぐところに行くと、思っていたよりも多くの人がいて、はぐれたりしたら探すのはなかなか大変そうだったので、集合場所を決めて遊びに行くことにした。
天気は雲ひとつない晴れ。
みんなの心も雲ひとつないように見える。
「おい爽! 何ぼーっとしてんだよ? 行くぞ!」
俺はボールを持って良太の元へ走る。
優太は1人で水の中に入り、深い所へ泳ぎに行く。
「優太って水泳得意なのかな?」
「知らないな。そんなことよりボール持ってんならビーチバレーするか?」
良太が俺のボールに目をつけ、指を鳴らしながら勝負を持ちかける。
「楽に勝てると思うなよ? 俺は中学の体育ではノーミスだったんだ」
1度もボールに触ってなかっただけだけどね。でも今は運動も普通にできるようになってきた。
「ほう? それは楽しみだな」
「「うおおぉぉぉ!!」」
ぽーん
ふわり。
ぽーん
ふわり。
所詮2人でラリーをするだけだ。水の上でアタックとかできると考えてた俺たちがバカだった。ロクにジャンプとかすらできないのに。
優太と翔太郎が来て、2対2の構図になった。
ぽーん
ふわり。
ぽーん
ズパァン!
翔太郎のスマッシュが良太の顔にヒット。
決戦の開始の合図となった。
「うおらぁぁ!」
碧い空にはきっと爽やかな風が吹く。 たなまる @sousoutnk
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