第7話 ゴールデンウィークの予定

翌日。

「星野は帰宅部か?」

スガちゃんが聞いてくる。

「はい」

「そうか。意外だったがまあいい」

この学校は比較的帰宅部が多いので、特に何も言われることは無かった。ただ、碧は「何となく爽はそうすると思った。私の部活が終わるまで寂しく教室で待つのかな?」とかニヤニヤしながら寄ってくる。そんなこと恥ずかしくてできるか。優太は「もちろん俺の事を手伝ってくれるんだもんな?」とか言って優菜が「私がいるじゃん!」とか言っていちゃついていたりした。はいはい御馳走様。イラッとしたので2人の頭をはたく。


そうの はたく こうげき!

ゆうなと ゆうたに 10の ダメージ!!

あの技は単体攻撃だっけ。


スマホを開くと、グループLINEで会話が始まっていた。ゴールデンウィークについての話題のようだ。

『ゴールデンウィークって皆予定ある?』

切り出しているのは碧だ。なんとなくだが、碧と良太が話題を持ってきて、みんながそれに乗る。という流れが多い印象だ。性格的なものなのか、みんなよりも得意なのか。するっと話題をもちだせるのは、本当にすごい人の証みたいなものなのかもしれない。

みんなゴールデンウィークは暇らしい。まあ、部活動が始まるのはゴールデンウィーク明けなので、当たり前といえば当たり前だ。

『ゴールデンウィークなんかあるの?』

『まぁ、ね。まだ内緒。』

『それじゃあ何もわかんないよ?』

『うん、5月2日の朝10時に岐阜駅集合。 持ち物は後で連絡する』


さらに碧は続ける。

『2泊3日になるから、親御さんの許可も取ってね』

泊まりか。何処に出かけるのだろうか?


持ち物は普通に旅行に行く時に必要なものと、ゴールデンウィークの課題だった。

両親にゴールデンウィークに泊まりで出かける旨を伝える。まだ家に帰っていないためLINEを送ると了承の意を示すスタンプで返答される。何がすごいって2人とも同じスタンプで返ってくる。別々のトークなのに。

我が家の両親は近所ではおしどり夫婦の働き者として知られている。母親はどれだけ帰りが遅くても父親の分だけは晩御飯を作るし、父親も休日の家族サービス(対象:母と妹のみ)を欠かすことは無い。

俺にもなにかしてね? 楓にはなんでも買ってあげるのに俺には自分で買えとか言うし小遣いそんなにくれないしなんなんだよ全くもう...

とはいえ俺にも極端に厳しい訳では無いので恵まれた環境と言えるだろう。

他の家はどうなのだろうか。事情のある家庭はもちろんある。碧や優太は最も身近な例だろう。

碧は一人暮らしである。それに発案者でもあるので、行けるのは当然と言えるが、優太も来れると言うので、やはりゴールデンウィークは偉大だと思います。

年中無休でゴールデンウィークにならんかなぁ...


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