第2話 碧って呼んで欲しい

─放課後

爽やかな風に乗って桜が舞う。

7人で固まって岐阜駅まで雑談しながら帰っていると優太が、

「そーいえばさぁ、爽と宮崎さんって同中だったんだよね?仲良かったの?」

「あ、それ思った!」

うわ、良太も乗ってきた。

「あ、それはですね..」

え、待って話しちゃうの??宮崎さん?

「ちょっ、それはっ「去年同じクラスだっただけだよー!だから私が副委員やったら1番やりやすいかなーって立候補したの!」

あ、それだけね。よかった。

「なるほどね!」

「なんかあったのかと思ってたよ」

「なわけないだろー」

めっちゃ嘘。色々ありました。特に春休み。

「ねーみんな!どっか寄ってこうよ」

「海そーやって言うならなんかいいとこ知ってんの?」

「ううん?全然知らないよ?翔太郎ー!いいとこ知らない?」

「あ、あそこのマック行こー!なんかテリヤキのやつなかったっけ!?」


大所帯だったので、俺、宮崎、良太、海のグループと、優太、優奈、翔太郎で別れることになった。

「実は...」

席に着くなり切り出してきたのは良太だ。海はなんのことかわかっているらしく、固唾を飲んで見守っている。っていうか2人とも真剣過ぎないか?

なんの話をするんだ?

「俺と海は同中だってことは話したよな?」

「うん、それは聞いた」

「俺たち付き合ってるんだ」

「そうなんですか」

「なんか分かりやすかったよね」

「ええ」

「え、それマジ?」

「マジマジ」

「マジです」

え、むしろ気づいてないと思ってたのか。

帰りの様子を見れば誰でもわかるだろ。まあそれは言わないのが優しさか。

「帰りの様子を見ればすぐ分かりましたよ?」

あ。言った。

2人とも絶句してる。なんか面白いな。

「そんなことより、近くに同級生結構いるけどそんなこと言って大丈夫?」

優太達のことだけど。

結局復活するのに10分を要した。


マックを出て、岐阜駅に着く。

「俺こっちだから」

「あ、私も」

宮崎と優太、優菜は同じ電車らしい。宮崎は同中だし当たり前か。


電車に乗るなり優奈が、

「そういえばさ、海っちとりょーちんはやっぱ付き合ってたんだね」

ちなみに海っちが海、りょーちんは良太の事だ。

優奈はオリジナルであだ名をつけるらしい。

「あ、聞こえてた?」

「うん、こっちのみんなにも丸聞こえ」

「でも、星野くんがちょっといじめた感あったよね」

「宮崎さんも思った?」

「うん」

「面白かったからね」


駅に着いたため、挨拶をして電車を降りると、宮崎も同じ駅が最寄りだったようだ。


「爽くんさ、なんで私の事宮崎って呼ぶの?」

「ん?今までもそうやって呼んでたよな?」

「そうじゃなくて、皆を下の名前で呼んでるのに私だけ宮崎って変じゃない?」

「まあ、そうだけど...」

「それに、私も碧って呼んで欲しいし」

天使。そう思ってしまうほど、その赤い頬と台詞には破壊力がこもっていた。


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