山男

 久しぶりに何も考えずによく眠れた。

 昨日見つけた川に行って、顔でも洗ってこよう。

 

 パシャパシャ。

 「ふぅ、綺麗な水で顔を洗うと自分も綺麗になった気になるわね。」

 とても清々しい朝だ。

 もういっそこのままここに住もうかな。

 そんなことを考えていた時だった。


 ガサガサ。

 「……!?」

 背後から物音がする。

 「えぇ、マジ?」

 そこには、私の身長よりも大きな熊がいた。

 「え、えっと……こういう時は横に逃げればいいんだっけ?」

 ネットサーフィンで培ったニワカのサバイバル知識を、私は必死に脳の引き出しから引きずり出そうとしていた。

 その時だった。


 パーン!

 大きな破裂音とともに熊が逃げていった。

 私は訳がわからず、とにかく音のする方を見た。

 すると、そこには髭ボーボーの山男がいた。

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