体験談をベースにした、小説というよりはエッセイに近い作品です。
ひと昔前、社のお見合いパーティーである女性と知り合った主人公(筆者)は彼女との交流を経て好きになり、アプローチを掛けていきます。
その時代には携帯電話など当然普及しておらず、もちろん連絡先は固定電話。
本人じゃなく、その肉親が出るのかもしれないというハラハラ感は、当時を知る人々にとっては共感できるネタなのではないでしょうか。
今のように簡単にコンタクトできないがゆえの、ほろ苦いノスタルジックな作品ですが、するすると読めてしまう非常にすっきりした文章で、時代背景をよく知らない世代の人々にも、お勧めできる良作です。