第22話逃げたいけど逃げられなかった

いつもらえるかの返事を待つのは辛い。告白しても、結局苦悩の日々が終わることはなく、彼女と会うたびに少しの期待と何もできないもどかしさを味わうことを繰り返すこととなる。


そんな状況が二ヶ月ほど続くと、諦めの気持ちが強くなり、自分から告白しておいてどうかとも思うが、もう諦めることを彼女に伝えようと決意した。


今みたいにメールやラインで伝えられれば良いのであるが、当時は直接会うか電話で伝えるしかなかったので、姑息な僕は彼女専用固定電話の留守電にメッセージを残すことにした。


彼女がまだ自宅に不在の時間を見計らって、電話をかけて留守電に「返事を待つのは辛いので、もうお付き合いすることは諦めました。good by forever!」とメッセージを残した。


これで彼女も流石に呆れて連絡もしてこないだろうと僕は妙な達成感を得た。

その日は実家に泊まるということもあり、夕食を食べた後に風呂でのんびりと過ごしていた。


風呂にのんびりと浸かっていたところ、弟が風呂場にやって来て、「お兄ちゃん電話だ」と言ってきた。「誰から?」と尋ねると何と友里からとのことであった。


バスタオル一枚を纏って風呂から上がり、電話に出た。

友里からは「小池君は勝手だよね」とか「メッセージを聞いたときはまたか!と思った」(前にこんなことをした覚えはなかったが)とか「最初は連絡しないと思ったのだけど」とか暫く文句を言われたが最後は何故か「諦めないで」と励まされ、「もうこんなことはしちゃダメだよ」と釘を挿された。


結局、待つ辛さから逃げようと思ったのに何故か絆されて逃げられなかった。


もう暫く、苦悩は続くことになるのであった。

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