第13話スキー旅行3

 スキー旅行1日目の夜は食事の後、4人で楽しく(自分は少しもやもやしていたが)過ごした。

 部屋割りは男女別に2人部屋だったので、寝る前に軽く水田君と話をしたが、彼は結構楽しそうな様子だった。

 僕は昼間のことや夜の様子を考えると、なんだか心がかき乱されて、浅くしか眠れなかった。

 そんな状態だったので、早朝目覚めた僕は、ペンションを出て、もやもやした気分を紛らわせるために一人で雪の積もる道をただあてもなく車を走らせていた。

 少し気分も晴れたつもりになったため、7時前にはペンションに戻ったのだが、戻ると3人は起きていたようで、皆は僕が急に居なくなって心配していたようだ。 心配をかけて悪かったなぁと思いつつ、「ちょっと、一人で走りたい気分だったんだ」と友里に伝えると、「変わったことするから、心配になるよ~」と返された。

 思い返すと、こんなことでしか存在をアピールできなかったのかと情けなくなるな。

   


 2日目は午前中だけ滑って、帰路に就いたのだが、僕の心の中はさらにもやもやしていた。(嫉妬心が芽生えてきたようだ・・・)

 帰りの路で、僕はこのままだと何となく自分にとってまずい状態になるのではないかと危機感を抱いていた。何故なら、友里の水田君に対する態度を見て、彼女は彼にかなり興味を抱いていると感じたからだ。

 だから、自分から悩みの種を撒かないように、お互いの連絡先を交換するような機会を女性陣と別れるまで設けなかった。


   

 今みたいにLINEとかツイッターとかのSNSのある時代だったら気軽に連絡先を交換していたであろうが、この時代は携帯電話すらまだ行き渡ってなかった。

 だから、自宅の電話番号くらいしか連絡先がなかったため、僕が率先して声を掛けなければ、連絡先を交換するイベントは発生しなかったのだ。


 水田君を自分から遊びに誘っておいたにも関わらず、僕は嫉妬心と僕の独占欲(何故、僕が自ら動いて掴んだ縁を他の人が簡単にかっさらっていくのだという反発する気持ち)を持つ矛盾した感情に支配されていた。


 女性陣を行きの時に待ち合わせた駅で下した後、夕食をまだ食べていなかったので、僕の実家の傍のファミレスに二人で行って今回の旅行の感想のようなものを語り合うのであった。   

   

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