第12話スキー旅行②

 旅行へ出発したのは金曜の夜であり、普通は寝る時間のはずなのだが、車内ではそれなりに話が盛り上がっていた。

 友里が何かの話を忘れていた事に対して、僕が「友里さんは、揮発性メモリだからねっ!」と言った笑えない冗談に対して、洋子さんだけがその意味を理解してくれたりしたこともあったりして・・・

 そして、この時、水田君と友里が楽しそうに話をしていたことが、僕の心に少しひっかかったのである。


 僕だけが少しもやもやする時を過ごして、ペンションには早朝に到着した。

 友里が事前にペンションと調整してくれていたこともあり、ペンションの空いている部屋を早朝にも関わらず仮眠部屋として提供してくれた。

 仮眠部屋は男女で分かれておらず、4人部屋だったのでとりあえずそのまま4人とも仮眠に就いたが、僕は社内の中で楽しそうに会話をしていた水田君と友里のことを思い出して、何となくもやもやした気分になり、眠ることができなかった。

   

 僕は睡眠不十分状態ではあったが、朝食後に4人でスキー場へ向かった。

 スキー場に到着した後、従兄のいる事務所まで友里と洋子さんとで一緒に行った。

 簡単に従兄と挨拶をした時に、従兄は少しにやにやした顔で僕に「どっちの娘?」みたいな感じで小声で聞いてきた。(彼女達は少し離れた場所にいたので)

 僕は、特にそういうような関係ではない旨を伝えて、その後3人で水田君が待っている場所まで戻った。

   

 スキーそのものは楽しく過ごせた。しかし、あるペアリフトを使っている時に水田君と友里、その後のリフトに僕と洋子さんが乗るという場面があった。

 この時、横に洋子さんがいるにも関わらず、前の2人が楽しそうに話をしているのを目の当たりにして、僕は何とも言えない気分になって、前ばかり気になり、彼女と碌に会話もしないというような状況になった。

 友里に対する気持ちはフラットに戻ったはずなのに・・・

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