第3話プロローグ3

プロローグ3

 大学卒業後は大手電機メーカーに就職し、初めて自宅から出て会社の寮に住むことになった。

 そして、その年の12月初旬の頃、寮で仲良くなった同期の友人からお見合いパーティに行かないかと誘われ、興味本位でパーティに参加してみた。

 パーティの内容は、最初に一回5分程度の時間で異性全員と1対1でお互いの自己紹介やその他雑談をして、何回かのフリータイムで気になった異性に声をかけて話をするというものであった。そして、最後は気に入った異性の番号を記入して、お互いがマッチすれば晴れてカップル成立という段取りであった。

 

 僕は、フリータイムの時、何となく話が盛り上がった1つ年下の女性と結構な時間を過ごした。(途中、当時は持っている人が少なかった携帯電話の自分の番号も教えていた。)しかし、最後に相手の番号を記入する段階で、彼女と一緒に来ていた友達の番号を記入するという失態を犯してしまい、その時はカップル成立とはいかなかった。

 その後、一緒に参加した友人がカップル成立しなかった2人組の女性に声をかけて、反省会よろしく合コンもどきのようなものを行って、彼女たちにいろいろな話を聞いた後、寮に帰った。

 

 翌日は実家に帰り、1日なんとなく無駄に過ごした夕食後、自分の携帯に留守伝が入っていることに気が付いた。

 メッセージを再生すると、パーティでお話した女性が、またお話をしたい旨の内容であった。

 僕は折り返し電話をして、番号を間違えてしまったことを謝り、次の週末に食事をする約束を取りつけた。

 (相手も、友人から番号間違えたんじゃないか?みたいなことを言われていたらしい)


 その後、人生初の春が来たと浮かれた気分で、仕事にも張り合いができ、食事の次にも水族館でデートをしたりして、初動としては順調だったと思う。

 自分は仕事が忙しく土曜日も休日出勤だったので、その後は主に電話でお話しをしながら、次はクリスマスを一緒に過ごそうかななんて考えていた。

 しかし、お互い彼女、彼氏と付き合うことに憧れを抱いていただけだったのかもしれないが、友人との何気ない会話で何故か僕の気持ちが冷めてしまい、彼女が電話をくれた時に今で言う塩対応をしてしまい、それ以降彼女とは疎遠になってしまった。(思い出すと、自分を殴りたくなる。酷い対応だったと思う。)


 その後、1年位過ぎた頃に年の近い従妹が僕より1つ年上の女性を紹介してくれた。何故だか僕は彼女に一目惚れしてしまい従妹のと一緒に一度会った後は、お互いの仕事の都合もあり、なかなか会えないので主に電話でお話をする関係であった。

 そして、何度目かの電話の時に、突然彼女の機嫌が悪くなり、軽く罵倒されるような形で電話を終えることとなった。

 でも、僕は彼女を諦められず、その後も何とか連絡をしようとしていたが、彼女からは「そのうち、連絡しますから」とだけ伝えられて、僕の恋は終了した。

これは、きっと前の彼女に塩対応をした報いを受けたのかなと自分を戒めていたが、一目惚れをした年上の彼女を諦めることは相当僕にとってダメージが大きかったらしく、仕事もしばらく手につかないような状態が続いた。(そんな状態になっている場合ではなかったのにね)


 そうは言っても仕事は待ってくれない。そんなことを考えられないくらい仕事も忙しくなってきて、家に帰ったらもう寝るだけみたいな生活を過ごしていたら、気持ちも落ちついてきた。

 そんな時、社内で人事異動があり、インデント製品を開発する部門からコンシューマー向け製品を開発する部門へ移ることとなった。

 全社から数十人規模で集めた人事異動だったため、異動後に数十人規模での研修を4か月くらい受けることになった。

 研修中はそれまでと違って、9時ー17時の規則正しい生活で、休日出勤もなく時間が余りまくっていた。

 

 そのような前と比べたら天国のような生活を送っていた私であったが、11月も終わりに近くなった時、できればクリスマスを過ごす彼女が欲しいなあと考えるようになって、以前友人と一緒に参加したお見合いパーティを思い出した。

 彼女ができるのがベストだが、会社以外での女性の繋がりができるだけでも収穫かなと思いつつ、銀座で開催されたパーティに今回は1人で参加した。

というのは、先の友人は異動で九州に行ってしまったし、他の友人を誘うのは何だか気が引けたためであった。


 そして、そのパーティで、僕を日々悩ます原因となった女性と出会うのであった。 


  

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