第2話 不安もあるけど放課後の約束


 その翌日。


 終業式の日は晴れていてとても暑かった。

 空を見れば青い空に白い雲、そして照りつけるように眩しく輝いている太陽がある。

 だけどきっと暑いのはそれだけが原因じゃない気がする。

 もしかしたら抑えきれないこの想いが僕の心臓の鼓動を早くしているからそう感じるのかもしれない。


 僕は大きく深呼吸をする。


 すると君が僕の視界の前を通り過ぎる。


「待って、恵梨香さん!」

 気付いた時には僕は君の名前を口にだしていた。


 突然名前を呼ばれ、戸惑う君。

 そんな君がとても可愛いく見えるのは恋をしているからかもしれない。


 ――不安もあるけど、伝えようこの想い


「あの……」


「どうしたの?」


「……終業式が終わったら少しだけ二人きりで会えませんか?」

 まだ告白をしていないのに心臓が破裂しそうになるぐらいにバクバクと暴れる。

 頭の中では早くも嫌な予感が過(よぎ)り、全身に緊張と不安で汗が出てくる。


「……えっ?」

 君は視線を僕から逸らし、すぐに戻す。

 その時に見えた困惑の色の表情が僕の心臓を締め付けつける。


 ――苦しい


 だけど僅かな期待に僕は頭の中で願う。


 ――頼む、僕にチャンスを。


 ――僕に告白するチャンスを。


 と必死になって祈った。


「……うん。わかった。でも学校だと皆に誤解を生むかもしれないから、放課後私達の帰り道のここで会いましょう」

 君は笑顔でそう言って学校に向かっていく。

 そして君の背中が見えなくなると、ようやく僕は全身の力が抜け自由を取り戻す事ができた。


「よかった~。何とかこれで希望は繋がったのか……」

 僕の口から安堵のため息と一緒に安堵の言葉が出てきた。

 心臓はまだ強く脈打っており、全身からは冷や汗、更には精神的な疲労と朝から疲れていた。

 君を前にするとそれだけ緊張してしまう僕は。

 二つの未来を想像する。


 一つは君と恋人同士になった未来。


 一つは君に振られた未来。


 確率論で言えばどちらに転ぶかは50%ずつ。

 それなのに必要以上に放課後の事を考えてしまうのは僕が臆病だから。


 僕はそのまま不安を胸に抱えて学校へと向かった。

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