無垢を演じる嘘つきな君が好きな僕に一度だけチャンスをください
光影
第1話 君に伝えたい言葉
いつか君に伝えたい言葉。
「恵梨香さん。僕は恵梨香さんの事が好きです! 僕と付き合って下さい!」
僕がいつか君に伝えたい言葉。
君を前にすると、感情が昂って、心臓がドキドキして今はまだ言えない言葉。
だって、もし振られたらと思うと、不安で仕方がないんだ。
だけど、必ず君に伝える。
だから、その時が来た時には、どうか聞いてほしい。
僕の愛の言葉を。
「……高校最後の夏。君と過ごしたいと思う僕はいけない子なのだろうか」
僕はベッドの上で天井を見つめ色々と悩んでいる。
そう気付けば好きになっていた君の事を考えているからだ。
夜になって目を閉じれば、夢の中でも君を探すぐらいに僕は君の事が好きなんだ。
でも勇気がでないんだ。
好きだからこそ君の前に立つと臆病者になってしまうんだ。
だからいつまで経っても友達のまま。
「……夏休みまで後1日。神様……僕にほんの少しだけ勇気をください」
僕は弱気になっていた。
夏休みが始まればしばらく君に会う事が出来なくなる。
いつも無邪気に笑う君の笑顔が僕の色のない世界に色を与えたくれた。
だからそれがない生活なんて嫌だった。
「散々予習したんだ。君に僕の想いを伝えるんだ。後悔だけはしたくないから」
夏休みになれば僕と同じく高校生活最後の夏を好きな人と過ごしたいと思っている人も中にはいるだろう。そうなれば想いを伝えれないまま君が他の誰かの彼女になってこの夏を過ごす事になるかもしれない。それだけは絶対に嫌だった。
もしそうなるぐらいなら想いを伝えて玉砕した方がまだ精神的にマシだった。
――上手に伝える必要はない
――僕は僕らしく伝えよう
それは三年生の春の日のこと。
僕は桜の花びらが舞う季節に生まれて初めて恋した日となった。
席は遠かったけど、僕がずっと憧れていた女子生徒の恵梨香さんとの出会い。
恵梨香さんは勉強こそ平凡だったが、とても可愛くて明るい女の子。
誰にでもフレンドリーな事から男子からの人気も高くモテモテ。
最初は明るい女の子なんだなと思っていたけど、僕がある日筆箱を忘れ困っていると、恵梨香さんは笑顔で「私の使っていいよ」と言って予備の筆記用具を貸してくれた。
今まで女の子とあまり接点がなかった僕は思いにもよらない展開に驚いた。
そして僕の心臓の鼓動が大きくなり体温が上がった。
――僕が恋をしたキッカケ
何気ない日常。
だけどそれでも僕にとっては特別な日となったんだ。
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