2-5 帰宅
「こっちはまだ暑いね」
「そうですね……北海道の感覚のままでいるとまずいかもです」
昼真っ盛り。この灰色の社会監獄をコンクリートジャングルなどと呼称した人もいるが、凄く的確だなぁと私は思う。何せジャングルと呼ぶに相応しい位には暑い。
「さて……兄貴の渡してくれたメモによると、レーダーの受け取りは海浜公園か……」
「ここからそう遠くは無いですね?」
「世界は広い様で狭いって言うのは案外嘘じゃないかもねぇ」
取り留めもない話をしながら海浜公園へ向かう。市の下水処理場のすぐ横にある、太平洋を見渡す海岸沿いにある公園だ。
兄貴からの依頼でレーダーを作った男……
「おぉ十束川氏ィ!拙者、
……初めて会ったとは思えぬほどのシンパシーを感じるそこの女史!十束川氏で合ってる?」
なんて濃い……!!許容範囲をギリギリ越えている個性濃度に卒倒しそうになる。
「デュフフ、ワケあり美少年と喪女っぽいお姉さんのカプ……捗る捗るゥ!!あーこんなシチュの薄い本出ねぇかなぁ!」
「うわやべー人だこれ……かなりグレーゾーンな単語ばっか話してる……」
「おっと失礼。氏らは地図に無い島へ行く、大作の匂いプンプンな旅の途中でしたな。しかし案ずる事なかれ。ビコーズ拙者がinしたのだから!こう見えて拙者、一応一流IT企業【MICOT.corp】のCEOなのでござるよ」
驚愕の二文字。【MICOT.corp】と言えば創業から2年足らずで1部上場、IT業界に数々の旋風を巻き起こしたスーパー企業じゃないか!!
「CEOがこんな所で何故……」
「掛矢氏からお聞きでない?拙者、ある時掛矢氏に絶望の淵から救われたんでござるよ。ま、この話は追々。ともあれその時の恩を返し切れていない故、今はこうして十束川氏の旅のお手伝いをさせて頂いている所存なのでござる。さぁこのレーダーを持っていくでござる。夢に見た幻想の世界を、拙者にも見せてくれると妄想が捗r」
「ありがとうございました」
「酷い!でもそれもまた良いっ!!」
貰ったレーダーは何とも某バトル漫画の、七つ集めると願いを叶えてくれる玉を探す奴に酷似していた。アニヲタアピールか……?
それはそれとして、私達は飛行場へ急いだ。
「待ってたぜ。自分で言うのも何だが、俺ァ凄腕パイロットさ」
飛行場に着くと、そこには筋骨隆々自信満々、信頼に足る『強き者の背中』をした男が私達を出迎えた。兄によれば『男・
「行こうぜ」
一言だけ言い、颯爽とコクピットに乗り込む我世。この人なら信頼出来そうだ……!!
「「はい!」」
識くんも私と同じ事を思ったらしい。我世をすっかり信頼した私達は、彼の繰るセスナに意気揚々と乗り込むのだった。
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