9月19日(土)発売 第2巻先行試し読み!

プロローグ


「それで本気ですか、ルークッ!!」

「シリウスゥゥッ!!」

 ルークが聖剣を振るうと、その余波で闘技場の床板が粉々に砕け散った。

 

 ルークと剣を混じえながら、ルークに剣の振り方を教えていたエトワール村の風景が瞼の裏に浮かぶ。

 しかし目の前には、苦悶の表情を浮かべ眩い光を放つ剣を振るうルークがいる。

 数ヶ月前のルークからは想像もできない程の威力、スピードともに一級品である荒れ狂う嵐のようなラッシュが襲い来る。

 そんなルークの猛攻を、『瞬雷ブリツツアクセル』と『ビヤツテン』を併用し白雷を身に纏い見切り、躱す。

 闘技場には絶え間なく剣の交わる音が鳴り響く。

 白く眩い光と、白く尾を引く雷光がぶつかり合い、空気を揺らす。

 先程から強固な障壁に拒まれて中々ルークにまでダメージが通らない。牽制で放つ生半可な魔術も聖剣の剣閃によりかき消されてしまう。

「逃げてばかりじゃ俺を倒すことはできねぇぞ、シリウス!!」

 苛立ちを隠さずに挑発してくるルーク。

「また剣を雑に振って……。そんな大振りじゃただ隙を作るだと散々教えたはずですが」

 ルークは先程から、ひたすらに大ぶりで一撃必殺を狙ってきていた。躱してくれといっているような単純な剣筋のため、攻撃を受けずに戦えていた。

 しかし、そろそろこの速度と膂力にも目が慣れてきた。ルークの一際大ぶりの攻撃を躱し、即座に懐に潜り込む。

「ハァァッ!!」

 紫電を纏うライナギ雷光ライトニングレイを瞬かせ、ルークの魔術障壁ごとルークの身体を斬り裂いた。

「ぐぅっ……! 何……だと……ッ!?」

 ルークは鮮血を滴らせながら、苦悶の表情を浮かべ僕を睨みつけた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る