020 救護係
目が覚めると、見覚えのある道場の中にいた。誰かが顔を覗いている。
「気がついた? 」
モエだ。あぁ、そういえば救護係だったっけ
「あぁ、もうどこも痛くねぇ。お前がやったのか? 」
「これが私の仕事だからね。」
得意げに彼女が言う。
「でも、最後の一発は効いたでしょ。腕が変な方向に曲がってたもん。」
ハヤトが笑うと、
「あれは俺が悪いんだよ」
バールは気がついていた。ディープの攻撃は自分が怪我しないスレスレを狙っていたことを。
「最後の攻撃、すごい怖かったんだ。それで反射的に目瞑っちゃって、先に手が出たんだ。もっと別の避けかたがあったはずなのに」
「でもこんなに元通りになるなんてすごいね。どんな病気でも治せちゃうんじゃない? 」
ハヤトが言うと、
「それは無理よ〜病気は怪我より複雑なの。病院だっていろいろな科目があるけど、怪我は外科くらいでしょ?だから怪我の治療と自己治癒力を上げることくらいしかできないの。」
「それでも十分だよ。おかげで思い切って戦えるね。」
「でも、死んじゃダメよ。」
バールはハヤトとモエの話はほとんど聞いていなかった。
(俺の攻撃、当たるどころか仕掛ける隙もなかった。これが……六槍師)
道場の外では、サンダースとディープがこんな会話をしていた。
「ディープさんよぉ、あそこまでするこたぁねえだろ。」
「勝たせてもいいことなんてないわ。最後に手を抜くのは彼のためにはならない。」
「知ってるぜ。お前、バールがパワーを溜め始めてから目の色変わったよな。やっぱり、匂いしたのか? 」
「ええ。あれはまさしくヴィンテールの匂い」
「ほほぉ〜〜これは金の卵かもしれないねぇ。でもなんであんな難しいことさせるんだ? 」
「彼ははっきり言って特に優れた点は無いわ。良く言えばバランスが取れてるけど、悪く言うとハヤト君の様にスピードに長けてるとか、何かの特徴があるわけでは無い。だからあえて難しい動きをさせることで彼に攻撃の特徴を与えたのよ。」
「なるほどねぇ。ま、フメイにいったら痛い目見ると思うけどな。ハヤトもバールも。」
そして、時は過ぎ……。
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