013 決心

 今日はむしむしと暑い夜だった。辺りはすっかり暗くなり、静かになった街で星の光は綺麗に輝いている。


 山の上にあるディープ宅では、襲われた街の様子を眺めることができた。いつもなら夜景が綺麗に見えるはずなのだが、今日は全く綺麗に見えなかった。


「ただいま〜」


 ハヤトとの出会いの後、崩壊した街でしばらく呆然としていたバールが帰ってきた。


「バール……! 」


 ドアを開けた途端、ディープに強く抱きしめられた。


「ちょっ… 」


 いつもなら抵抗していたはずだが、この日は抵抗しなかった。


「バール…無事でよかった…… 」


 見たこともないディープの表情。

 バールは困惑するがディープが無事で良かったと安堵した。


「ディープ、俺今日、凄いやつに会ったんだ。そいつ、あんなに街をめちゃくちゃにする奴らを一瞬で倒しちまった。」


 バールが続ける


「俺、強くなるよ。今まで戦うってどうすればいいか考えたこともなかったけど今日思ったんだ。強くならなきゃって。」


 ようやく落ち着いたディープが頷く


「うん、ロスクルド帝国の攻撃はかなり世界中に広まってる。また世界を巻き込んだ大きな戦いが始まるわ。ビバ帝国ももう一度狙われるかもしれない。」


 バールは決心した。強くなると。


「ディープさん、俺をもっと鍛えてくれ。」

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