008 メロル

 特訓開始から20分後


「はあ…はあ…… 」


「まだ30分も経ってないじゃない!」


「でもよ〜これかなりきついぜ? 」


「長期戦になることを考えたら最低2時間はキープできないと戦いにならないわ」


「冗談だろ…… 」


「いい?何を教えるにもまずは修行する体力が必要。基礎体力の特訓よ」


「まじかよ…… 」


「はい!ボサッとしない!!」



 一方その頃、ロスクルド帝国では


 薄暗い謎の空間で、1人の女が世界地図を広げながら、次の狙いを定めるかの様に首を捻っている。

 長いピンクの髪を二つに結んだ姿は、とても残虐なことをする様な人には見えない。


「次、行くところ分かってるでしょうね」


「はい、メロル様」


 メロルと呼ばれる女の指示を受けているのは、ヒトミとメグミだった。彼女らもまた、先日の襲撃事件で街を壊滅させたとは思えない程、小柄だ。


「メロル様、あそこには六槍師がいるそうです。」


「六槍師が?まぁ関係ないわ。あなた達ならいつでも殺せるでしょ。」


「はい。メロル様」


 ヒトミとメグミが声を揃えて呟く。


「次の標的は、ビバ帝国、ペノー市」




 〜ビバ帝国ペノー市〜


 テレビ「アーグラパー王国から始まった謎の襲撃事件がついにセラドンマー大陸にまで被害が広がりました。襲撃された地域に共通点と言えるものは無く、おそらく無差別で行われているものとして調査を進めています。専門家によりますと、ロスクルド帝国への被害が一切無いことから、ロスクルド帝国の人間による犯行の可能性が高いとの事です。一方、ロスクルド帝国の国力が弱まっている事を踏まえ、ロスクルド帝国を襲撃する必要性がないと見て襲撃することを控えてるとの見方もあるそうです。」


 一人でテレビを見ているディープが、呟く。


「六槍師を五大陸に散らばせて対応してるみたいだけど、あまりにも手遅れすぎるわ。これだとこの街もいつ襲われるか…… 」


 そう。これはあまりにも手遅れだった。六槍師のトゲゾウが向かった先はすでに壊滅しており、同じく六槍師のエドが向かった先は小さな村が丸ごと無くなっていたという。


 そして、この街にもついに魔の手が。


「キャァァァァ!!」

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