第2話 人間でした

私達は人間でした

今はこの身体も冷たい。

だけれど、今こうして、歩いている、話すことも、考えることもできる。

身体が人肌に温かかった頃と、なんら変わらない。

みんなそうだ。


生物学的には死んでいる。

三途の川のほとりを散歩しているかのような、そんな感じなのか。


『人間』からは忌み嫌われる存在になった。

みんなは段々と卑屈になっていった。


なんとなく歩いていた公園で、一匹の野良猫に遇った。

なんとなくしゃがんで目線を合わせると、伸ばした手に頬を摺り寄せてきた。

掌には、かつてのような温もりが広がる。

そう、僕は生きている。この温もりも感じられる。

希望が見つかったような気がした。


猫に別れを告げて歩き出す。

明日はきっと優しくなれる

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