俺の姉ちゃん 優視点
俺の名は桜井優
俺には姉が一人いる
桜井溟、それが俺の姉だ
俺が小学校1年の頃
母が再婚すると話してきて、手続きをする為に再婚相手がもう少ししたら来るそうだ。
相手は同じ職場の先輩で俺と同じ年の子どもがいて、名前は溟と言うらしい。溟の母親は病弱で溟を産んですぐに息を引き取ったそうだ。
あと、俺の父親は俺が産まれたのを聞いて病院に向かってくる途中で交通事故に巻き込まれ亡くなったそうだ。
話を聞いてると、インターフォンが鳴り母と一緒に玄関まで迎えに行った。そこにいたのは180以上ある身長で、ガタイがあり短髪で厳つい顔の男が居た。足元を見ると、男の足の後ろに隠れた女の子がいた。それが溟と初めてあった瞬間だった。
第一印象は暗い子だと思った。
声も小さい前髪で顔見えなかったし、正直行って気持ち悪かった。ずっと父親の背中に隠れていて、こっちを見ようともしない。
親同士の話し合いで溟が4月22日俺が4月23日と1日違いで溟が姉となった。
次の日、溟が転校してきた。クラスが違う為家以外では顔を合わせないようにしている。正直言って関わりたくなかった。
たまに溟のクラスの前を通り過ぎてると、一人で本を読んでいて周りに誰もいていない空間ができていた。家でも俺とも話はしない、ご飯食べる時以外ではずっと部屋に閉じこもっていた。
そういう生活が続いたがある時を境目に溟が変わった。
それは俺が小学校5年の頃、クラスの女の子に告白されたのだ。だが俺は断った。何故かって?それはクラスのいじめっ子がその子のことが好きだって事を知っていたからである。
告白を断り次の日学校に行くといじめっ子に呼ばれ殴られた。理由を聞くと嫉妬で俺が告白されたのを見ていたらしい。抵抗しても体格差で一方的に殴られるだけ。その時
「私の弟から離れて!!」
小さい身体がいじめっ子にぶつかった。不意をつかれた為かいじめっ子が尻もちを付き、小さい体が俺の前に立った。
「これ以上弟を殴るなら私が許さない!!」
いじめっ子は立ちあがり更に怒りを増し、溟を殴った。1度だけではない何度も殴ったのだ。先生が来るまでの間溟は泣く事もせず、前髪の間から見えた目はずっといじめっ子を睨んでいた。
先生がいじめっ子を取り押さえ連れて行かれてる時、溟が俺の元まで歩いて来て
「私お姉ちゃんだから、何があっても弟を守るから」
そう言い、保健室の先生に連れて行かれた。
いじめっ子はPTAと現場に駆け付けた先生の証言により他県の小学校に転校。
家に帰ると両親が心配していた。学校から連絡があったそうだ。
その日の夕方溟が俺に近づいてきて
「ねぇ、一緒におふろはいろ」
俺はうんと頷いた、いや、頷・い・て・し・ま・っ・た・
一緒にお風呂に入ると溟が
「洗っこしようよ」
「優ちゃんって呼んでいい?」
って言ってきたのでま・た・うんと頷いてしまった
そこで初めて溟の素顔を見た。かわいい顔立ち、目が大きく垂れ目で涙ボクロがあった。
お風呂から上がるとまた溟が近づいてきて
「優ちゃん一緒に寝よ」
この提案も俺はうんと頷いてしまった。
この日限りだと思っていた。だが、現実は非情だった。
毎日一緒にお風呂に入り一緒に寝た。この時はまだ良かった。
小学校卒業する前から溟の体が成長してきたのだ。
それを俺が自覚したのは中学1年の時、家で溟はテレビを見ていたのだが、リモコンを取るときに前かがみになった瞬間見てしまったのだ、服の間から見えた姉の胸を。
自分では見慣れていると思っていたが、つい顔を赤くしてしまい、それを溟に見られたのだ。
それから、溟は俺の顔を胸に埋めたり、頭を撫でたりするようになった。それが中学の卒業まで続いた。
卒業式が終わり俺は一直線に家に帰った。昨日発売されたゲームがやりたかったからだ。
家に着き、すぐに着替え簡単に昼食を済ませて部屋に行こうとした時に、溟が帰ってきた。
玄関に行くと知らない人がいたと思った。大きな垂れ目が見える位前髪が切れており、顔に横一閃の傷跡があったのだ。
印象が変わっていたから分からなかったが、俺の頭を撫でる手、胸に埋まった時の柔らかさと甘い匂い、俺を見る優しい目、その全てが溟と同じだった。
そう思うと急に恥ずかしくなり、溟から離れて両親が帰ってきたら話を聞くと言い部屋に駆け込んだ。前屈みになったけど気づいてないよな。
溟が昼食のことを聞いてきたので
「いらない!!」
と言い、扉を締めた。
両親が帰ってくるまでの間ゴミ箱がティッシュで一杯になった。
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