第11話 真剣 VS 盤石

ビュゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!


相変わらず、プットス大草原には強い風が吹いていた。


「ふっ!キーを倒したくらいで調子にのるなよ小僧!あいつはあくまで副幹部。それは幹部の次に強いというだけで、幹部との実力差があまりないという意味ではない」


「へぇ〜、じゃああんたは、こいつよりも断然強いってことだ?」


「そういうことだ!さぁ、相手をしてやろう掛かってこい!」


「ちょっと待ちなよ?掛かってこいってあんた、武器も何も持っていないじゃないか?その背中のものを早く使いなよ」


「その必要はない!お前ごとき武器に頼らずとも・・・」


「へぇ〜、これでも?」


ボードの話も途中に、バンプはボードの背後から切り掛かった!


ガキィィィィィィィィィィィン!!!!!


背後に回ったバンプにボードは気付きながらも、前を向いたままバンプの振り下ろした剣を左手の人差し指と中指のたった2本で受け止めた。


「そう!勝つことはできる」


ボードの堂々とした勝利宣言。と、同時に剣を受け止めた2本の指を離し、そのまま左手で拳を握り、バンプの腹へと裏拳を当てた!!!!


「ガハッ!!!」


そして、そのままバンプはボードの後方へと吹き飛んだ!!!


ドガッ!ズザッ!ザザッ!!!ズザザザザザザザッッッ!!!


大草原を後ろ回転しながら吹き飛ぶバンプ


「イテテテテテ。幹部は伊達じゃないね」


膝を震わせながらも立ち上がるバンプ。


「俺も少し、本気を出さなきゃいけないかな。行くよ!!!」


ビュツ!!!


バンプがまた高速でボードの後ろへと回り攻撃を仕掛けた!!!


「無駄だ!」


そう言って先ほどと同じように人差し指と中指でバンプの剣を止めようとするボード。その瞬間、バンプはボードの前へと回りこみ、剣を下から振り上げた!!!


「さっきと同じことするはずないじゃん!!!」


(捉えたっ!!!)


バンプはそう確信した!!!しかし、次の瞬間!!!


ガキィィィィィィィン!!!


バンプの攻撃は弾かれたのである。


「ヘヘッ」


バンプはボードを見て笑った。ボードの右手には大剣が握られていた。


「小僧!俺に武器を使わせたことは褒めてやる!!!」


「そりゃどうも!でも、今から俺に負けるんだから気にしなくていいよ!!!」


そう言うと、またバンプの方から仕掛けていった!!!


ガキィィィィン!!!


バンプの剣とボードの大剣が火花を散らすようにぶつかる。


「なるほどね、その大剣とその力があれば100以上の軍勢を川で移動させるために、何本もの大木を切ることだってできるってわけだ。幹部の力は恐ろしいねぇ〜」


「貴様も、私よりも小さな体でこの剣を何度も捌いているところは認めてやる。例え、私がまだ本気を出していないとしてもな」


「そんな余裕はないと思うけどね」


緒操呂奇真剣どろきしんけん

十一波突砕イレブンバック


バンプは高速で11回もの突きをボードへと叩き込んだ!!!


「さすがにスピードは俺の方が上なのかな。これだけ打ち込めば、あんたの大剣では全て捌けないでしょ?」


キィン!キィン!キィン!ザクッ!キィン!キィン!


ザクッ!キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!


初めてバンプの剣がボードを捉えた!!!しかし、それでも11発中2発だけである。


「化け物だねぇ〜!!!」


バンプは呆れたような口調でそう言った。


「中々、楽しませてくれる!!!最初のおままごとという発言は撤回しよう」


「そいつはどうも!デスク軍だかなんだか知らないけれど、幹部だからって調子に乗っていると痛い目見るよ」


「そのようだな。では、私も気を引きして戦わなくてはな」


「あんたがまだまだ本気じゃないのはわかっているけれど、油断はいつも形勢逆転の火種になる。そこを俺はついて行こうじゃないの!!!」


「こんなに自分の力を解放できるのは、デスク様と初めてお会いした時以来だ。礼を言うぞ、マジシャンの男よ」


我流盤石がりゅうばんじゃく

斜陽しゃよう


ボードがその大剣に力を込め斜めに振り下ろした。バンプはそれを剣で迎え撃った!!!


ギャギィィィィィィィン!!!


「ぐぐぐぐぐぐぐ。うわぁぁぁぁ!!!」


ギャリィィィィィン!!!


はじめはバンプがボードの斜陽を受け止めたかのように見えたのだが、その力を受け流せきれずにバンプはそのまま吹き飛ばされたのだった。


「はぁ、はぁ、はぁ・・・」


息を切らしながらも、なんとか立ち上がったバンプ。しかし次の瞬間、今まで晴れていたはずの景色が一瞬にして曇ったのである。いや、それは目の前にボードが立っていたからだった。


我流盤石がりゅうばんじゃく

落日らくじつ


大剣を両手で力強く振り下ろしたボード。


ガキィィィィィィィン!!!


バンプは剣を使ってその攻撃を受け止めた。


「ググググググググ!!!ウオォォォォォォォォオ!!!!」


バンプはボードの剣を受け止めながら、弾き返そうと試みているのだが、力が強すぎてそれができない。剣を支える手も、その手を含め体を支える足も、かなり限界が近づいてきていた。


「よくぞ受け止めた。しかし、胴がガラ空きだぞ!!!」


ドカッ!!!


ボードの左蹴りが、バンピの右わき腹に入った!!!


「ゴフッ!!!」


ドガッ!ズザッ!ザザッ!!!ズザザザザザザザッッッ!!!


またもやバンプは吹き飛ばされた!!!


「ハァ、ハァ、ハァ・・・」


なんとか立ち上がったバンプ。


「そうだ!いいぞ!その調子でもっと楽しませてくれ!!!」


そう言いながら、今度はゆっくりと歩きながら近づくボード。


「やっぱり、本気でいかなきゃダメなのかな」


「んっ?今、何か言ったか??」


ボードが、意味深な言葉を発したバンプに聞き返す。


「本気でいかないと、デスク軍の幹部には勝てないんだなって、改めて思ったよ。だから、とっておきの切り札を使わせてもらうよ」


緒操呂奇真剣おどろきしんけん 切りきりふだ

ダブルアップ


そう言うと、バンプはトランプを出し、ボードの真上へ放り投げた。放り投げられたトランプは、まるで花びらのように宙を舞いながら落ちていく。


「何だかわからん技だが、だからこそ危険な香りがする。このトランプには触れないほうがよさそうだな」

そう言うとボードは、目の前に迫るトランプから順に大剣で切り裂き始めた。

1枚、2枚、3枚、4枚、5枚・・・。

どんどんボードはトランプを切り裂いていく。

そして、何枚目かで気づいた。


「何だこれは?切り裂いたところで何があるわけでもなく、カードによっては、ただ草の上に落ちていくものさえある。お前、まさかただの行動に技のような名前をつけることで、私の目を誤魔化し、時間稼ぎをしているのではないだろうな!!!見損なったぞマジシャン!!!」


大剣をバンプに向け、激昂するボード。次の瞬間、その大剣を持つ右手にトランプが1枚落ちた。


「触っちゃったね?」


「何?」


シュゥゥゥゥゥゥン!!!


ボードの右手に触れたトランプが自然とバンプの元に吸い寄せられた。

そして、そのカードを見てバンプはニヤリと笑った。


えっ?えっ?一体どういうこと?


なんだか不思議な技が出てきましたが、


一発逆転なるのでしょうか?


バンプ VS ボード


最高潮でぇぇぇぇす!!!!!


頑張れバンプ!


負けるなバンプ!


次回へ続く!

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