第32話 旅行3

「待たせたな?おっ。2人とも浴衣似合ってるな?」


「本当だね。やっぱり女の子の浴衣姿はいいよねー。」


「ヒデちゃん。おじさんくさい。」


「ひどっ!」


「私たちも久しぶりにゆっくり話せたからいいわ。それよりも、行きましょう。」


風呂から上がった俺たちは、ロビー横のカフェでくつろいでいた2人と合流し、温泉街へと向かう。


「ねえ?これ可愛いと思わない?」


「おお。お前に似合ってるんじゃね?せっかくだしお揃いで買っとくか?」


「いいの?そしたらお言葉に甘えるわ。そう言えば、雛と澤村くんはどうしたのかしら?」


「あいつらなら先に行くって行ったよ。デートをさせてやるのもいいだろ。」


「それもそうね…きゃっ…あ、ありがとう…」


「その靴?じゃ歩きにくいだろ?俺たちは俺たちで楽しもう。お姫さま。」


「ふふっ…そうね。せっかくだし今日はお姫様扱いしてくれるみたいだし?」


そう言い、2人は何も言わずに手を繋ぎ、ゆっくりと歩き出す。


「いやー!紫音と島津さんも見せつけてくれるね?先に行って良かったよ!」


「2人はラブラブ。ストラップもお揃い。」


「お前らが言うな。それに俺は琴奈をエスコートしていたにすぎない。」


「そうね。結構人も多かったし。」


温泉街を一通り見回り、今は4人で夕食を食べお酒を飲んでいた。


「さっき温泉も入ったけど、ほんと良かったわ。露天風呂も。」


「ん。でも雛乃的にはこっとのスタイルの方が凄い。しーくんは幸せ。」


「俺にふるなよ。確かにスタイルが良い事は認めるがな。」


「あら、雛も凄いわよ?澤村くん。暴走しないでしっかり避妊はしなさいよ?」


「島津さんちょっと酔ってるよね?雛乃ちゃんも程々にしときなよ?」


しばらく、飲んでいると案の定…


「琴奈。ここで寝るな。雛ももうやめとけ。」


「2人がこんなに酔うのは珍しいね?まあ久しぶりにあったから楽しかったんじゃ無いかな?」


「ヒデは大丈夫なのか?俺は琴奈おぶって部屋に連れてくよ。」


「ああ。俺は大丈夫。紫音の昼間の話しがちょっとね。雛乃ちゃんも連れてくよ。」


「すまん。重い話で。」


「違うんだよ。本当に感銘を受けてね?この楽しい時間がずっと続かないかなーって思うとちょっと寂しくなってね。」


「俺たちが望めば続くさ。それじゃ明日な?おやすみー。」


俺は琴奈をおぶると酒場を後にし、部屋へと向かう。琴奈の腕が、しっかりを俺の身体を掴んでいる事を感じながら。


「ふー。起きてるんだろ?酔ってるのは事実だろうが…」


「ごめんなさい…つい楽しくって。ねえ。こっち来て…」


俺が琴奈を布団に寝かせると、琴奈は俺の首に手を回し、布団の上へと抱き寄せる。

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