第29話 準備
「なるほど。結構いろいろあったのね?なんと言うか、世間って狭いのね。」
「それな。どうせ逃げられないなら上手く付き合った方が早い。」
絢美との一件があってから数日。俺と琴奈は久しぶりに街へと繰り出していた。というのも明日からは旅行のため、準備のために買い物をしていた。
「言っておくけど、あなたがそれでいいなら私は何も言わないわ。観月や菊一さんは巻き込まれただけだしあなたとも上手くやってるのだから。だけど、絢美は私も無理ね。そもそも合わないのよ。」
「助かる。言っても普通に生活してりゃそうそう絢美とは会う事ないだろ。」
「だといいけど?ここまで来たらどこでどう繋がるか分からないのだから、あなたも気を付けなさい?」
「気をつけようが無いだろ…まあそれは置いといて、旅行。楽しみだな?ぶっちゃけ4人の必要あるのか?」
「あの2人はああ言ってたけど、なんだかんだ4人で楽しみたいって、雛が言ってたわ。それとも、2人が良かったかしら?どうせ夜は2人でしょ?」
「ばか。そう言う意味じゃねえ。まっ、気にせず楽しむか。温泉街っていろいろ美味いもんとか屋台的なものもあるし、天気も良さそうだしな。」
「そうね。晴れ男がいて助かるわ。そういえば、愛莉さんはその後どうなの?」
「ああ。あの後は特に何も無いよ。それに、今は実家の北海道に帰ってる。いいよなー北海道。」
「あなたがいつの間にか結婚してたなんて知らなかったわ。」
「話聞いてた?なんでちょっと不機嫌なんだよ。焼いてんのか?」
「別に。無茶するわねって思っただけよ。そんな新婚のあなたも明日は私と不倫ね?悪い男。」
「ややこしくすんなよ。まあでも、お前のそういうとこ可愛いよな。」
「ばか…」
「お前は最近なんか無いの?」
「特に無いわ。サークルも女子が多いし、良い人もいないわ。安心したかしら?」
「へいへい。安心しましたよー。俺には琴奈さんしかいませんからねー?」
「4股してる男がよく言うわ。」
「バカ言うんじゃね。そんな言うなら明日はとことんお姫様扱いしてやるから覚悟しとけよ。」
「ふふっ。言ったわね?楽しみにしとくわ。とりあえず荷物持ちなさい。」
「それは召使いだろ…」
そう言いながら俺たちは、いつもの様に笑い合う。
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