第28話 真実
「まず、私から話すね。紫音くんは私が手を繋いでるのを見たって言ってたよね?確かにそれは事実だけど…本当にあの人とは何もないの。サークルの先輩で、私は彼氏が待ってるからって言ったんだけど、強引にね…もちろん突き放せばそれで済んだ話しだけど…お世話になってる人だし人もいたから…」
「言いたい事はわかる。周りに合わせなきゃいけない時も特に女子の場合はある。これは俺のエゴだが、言い方次第でやんわり断る事も出来たはずだ。
」
「確かにそうかもね…それでも、一言謝りたかったの…」
「お前の感情論は聞いてない。俺がお前に惚れた理由は、良いものは良い。ダメなものはダメって言える自分を持っているところだ。でも今のお前は違う。さっきの理由も確かに外的要因だが、まず謝る事も出来たはずだ。」
「…いつまでもわがままではいられない。特に女子は面倒な世界だから。」
「それはわかる。その人とも何も無いのはわかった。でも俺たちが別れる時。お前は、紫音くんは何考えてるかわからない…って言ったのは覚えてるな?その言葉が全てだろ?」
「…これはただの言い訳だけど、私のただの八つ当たりだった。紫音くんは一切何も悪く無いし正しい事しか言ってない。紫音くんは要領良いし何でもできるもんね…だからこそ不安で…」
「言葉と言うのはその時の感情抜きに言った過去は取り消せない。その言葉を言った時点で俺たちはもう終わったんだよ。まぁ、1週間たって少し冷静にはなったけどな。」
「…戻りたいとは言わないし、言えないけど…またお友達になるのはダメかな?都合いい事言ってるのはわかってるけど。」
「…機会があればな…とはいえ、俺も完全に嫌いになれないのも事実だ。ただし、観月や琴奈、あと奈々香とはちゃんとしろ。」
「うん。奈々香ちゃんとも仲良いんだもんね…元カレの事は聞いたよ。奈々香ちゃんの事助けてくれてありがとう。観月ちゃん。利用して本当にごめんなさい。でも、琴奈ちゃんとはたぶん無理かなー。お互い合わないし紫音くんの事もあるから…」
「ふ。その素直なお前が良かったんだがな。」
「…そう言う事言わないでよ。とりあえず私は今日は行くね。マスター。ご迷惑をお掛けしました。またね?紫音くん、観月ちゃん。」
そういい、絢美は最初とは違い、申し訳なさそうにしかし作り笑いでは無い笑顔でバーを去る。
「紫音良かったの?優しすぎじゃない?あと、私も本当にごめんなさい。」
「と言っても会う機会はそう無いだろ。それに、観月やあの後輩と知り合ったのは偶然ならば結局俺は絢美と縁があるんだろう。会った時に話すぐらいなら別に構わん。そのぐらいのスタンスの方が楽だしな。琴奈には内緒で頼むな?」
「たぶんこっとは感づきそうだなー…まぁ紫音がそれでいいなら、聞いててもちゃんと話し合えてたし。ねっ?マスター?」
「紫音くんは大人だね。それでいいと思うよ。ただ元カノとは結構身体の関係が続きやすいから気をつけて。」
「女の子の前でなんて事言うんですか?」
「しおーん?ぜっっったいダメだからね!!」
「事実かも知れないけど、間にうけんなよ。さっきの今だぞ?」
俺は千葉さんの言葉になぜかムキになっている観月に苦笑を浮かべつつ酒を飲み進める。
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