第25話 いとこ
「それで?話してくれるのか?まあ話したくないなら話さなくてもいいが。」
「ここまできたら話します。私も先輩とちゃんと仲良くなりたいですから。」
琴奈と鉢合わせをした俺たちは、ひとまず近所の喫茶店で話す事にした。このまま普通に夜ご飯なんて食えないから。
「最初に言いますけど、確かに私とあや姉はいとこですが、正直今は連絡も取ってないし会ってもいません。先輩と付き合っていた時は連絡とったりしてよくのろけを聞かされました。」
「なるほど?」
「付き合っていたのが先輩だとは知りませんでした。写真は見てカッコいい人だなーとは思ってましたけど、先輩黒髪でしたし。でも琴奈さんの事は知ってました。彼氏と仲がいい女がいて気になるって。」
「俺たちは付き合い長いからな…それでも、お互い彼氏彼女がいる時は気をつけてはいるんだがな。」
「実は部活で対戦した事もあるんです。そこで少し話しました。琴奈さんはバスケ部のエースでしたから。あや姉の事もさりげなく聞いてみたんです。琴奈さんは、私には関係ない事だし、私も気をつけてはいるわって。」
「なるほどな…そんな繋がりがあったとは。」
「私はあや姉の事だからと、特に気にする事もなくなりましたが、最近あや姉から、彼氏と別れたって。理由はまあ、いろいろ言ってましたけど、先輩には言いません。多分自分の主観が入ってると思うので…」
「かもな。」
「その時に名前を聞いてました。そして先輩と出会って、同じ名前だったんでもしかしたらと思って調べたら…でも先輩は本当にいい人で…だからこそ!あや姉の事がわからないし、琴奈さんの事もわからない…」
「まず、琴奈は俺の親友だ。これは誰になんと言われても変わらん。奈々香に悪意がない事もわかったし、絢美の事は…正直なんとも言えんが、別れてるのは事実だ。だから特に変わらないし、俺は奈々香とは普通に出会って普通に仲良くなった。それじゃダメか?」
「先輩は優しいからそう言うと思いましたけど、いいんですか?私といたらあや姉の事思い出すと思うし、もしかしたらいつか会うかも…」
「絢美と奈々香がいとこなのは変わらん事だが、俺たちが仲良くするのは絢美、と言うか誰にも関係のない事だ。それに、奈々香は絢美とは違う。」
「…先輩がそれでいいなら。私も先輩と普通に仲良くしたいです!それに…私のおっぱい揉んだんですから責任取ってくださいね?」
「…あれは不可抗力だし、いつの時代のラノベだよ…」
そう言った笑顔の奈々香に、少しモヤモヤするものはあったが、俺もつられて笑顔になったんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます