第24話 鉢合わせ

「先輩!お花見楽しかったです!澤村さんや皆さんもいい人ですし、また誘って下さい!」


「そりゃよかった。女の子でも行けそうな時はまた誘うよ。」


「もうこんな時間なんですねー?そうそう、ちょっと学校寄ってもいいですか?先生に課題渡してきます!」


「マジメにやってるみたいだな。そしたら俺はバイク取ってきて正面で待ってるから。」


「はい!すぐ行ってきますので、お待ち下さい!」


そう言うと、奈々香は大学の中へと姿を消す。


「ふー…ちょっと時間かかりそうだし、気長に待つか。」


「あら、あなたまだいたの?」


「…サークルで花見だったんだよ。琴奈は今帰りか?」


「あそこの小川のところね。私も今帰りよ。誰か待ってるのかしら?澤村くん?」


「いや、ヒデは帰ったよ。ちょっと知り合いをな。帰り道一緒だし。」


「そう。それじゃあ邪魔しちゃ悪いから行くわ。またね?」


「先輩お待たせしました!って…お邪魔でしたか?」


なんてタイミングの悪いやつ。まあ隠す事でもないし、いい機会だから紹介しとくか…なんとかなるだろ。


「ああ。こいつは高校からの付き合いで島津琴奈。こっちはこの間話した後輩の菊一奈々香。」


無難に紹介出来たな。と思っていたその時…


「…正直言うとこの間の飲み会の時に知ってたわ。信じたくなかったけど、本当にあなただったとはね?菊一さん。」


「…先輩と知り合ったのは偶然ですから。あの人は関係ないです。まあ琴奈さんには関係無いですよね?もちろんあの人も。」


「ええそうね。ただこれだけはハッキリ言わせて貰うわ。紫音の事、利用してるなら許さないわ。」


「おい待て。まず落ち着け。2人は知り合いなのか?言いたくなかったらいいが、説明してくれ。」


「ごめんなさい先輩…実は、琴奈さんと会うのは初めてじゃ無いんです…」


「本当に関係無いのなら言ってもいいわよね?」


「…いいですよ。私もあの人がしたこと許せないですし、琴奈さんがいいなら。」


「ふぅ…紫音。ハッキリ言うわ。その子は絢美のいとこよ。」


「えっ…マジで…?」


「本当にごめんなさい先輩…でも!あや姉の元カレが先輩だって知ったのは最近でした…琴奈さんの事も高校の時に聞かされてました。」


「…絢美が私の事をどう話してたかなんてどうでもいいわ。」


「2人ともよせ。とりあえず、奈々香が俺と知り合ったのは本当に偶然で、絢美の事も知らなかった。琴奈は飲み会の時に知った。なぜ琴奈は知りながら黙ってたんだ?」


「様子見よ。あなたの事だし騙されていない事なんてわかるわ。それでも、私の中では…絢美っていう女がその子に関係なくても許せないのよ…」


「何度も言いますけど、あや姉は関係ないです。先輩は凄く良い人ですし、私とあや姉は違います。それでも何かありますか?」


「そこまで言うのならわかったわ。確かにあなたとあの人は違うから。…邪魔したわね?それじゃまた。」


そう言い琴奈は俺たちに軽く手を振ってその場を後にする。その姿を見守る俺はの胸の中は、とてつもなくモヤモヤしていた。

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