第22話 名前
「なあ?菊一ってなんかサークル入った?」
「うーん…何個か新歓は行ったんですが、バイトもあるしとりあえずは保留ですね…てかここの中華美味しいですね!」
観月と飲みに行った翌日、俺は講義が午前のみだったため、たまにはと思い、菊一を誘い近所の中華料理屋でランチをしていた。
「そうなんだな。バイトって何してんの?」
「私たちのお家の最寄駅のケーキ屋さんですよ。ほら、あのタルトが美味しいとこあるじゃないですか?人気だから時給いいですし、ケーキ貰えるので!」
「ああ。あそこのな。美味いよな?今度ケーキ俺にもくれよ。」
「いいですけど、先輩の料理もお願いしますね?それより、先輩この後どうするんですか?今日はバイトないんですよね?もう一緒に帰ってゆっくりしますか?今日は私が夜ご飯作りますよ!」
「それもいいが…そうだ。ちょうどいい。これから俺、サークル行くから暇なら一緒に来る?アウトドアサークルなんだけど、みんな自由だし今日は大学の隅っこで花見するんだけど。」
「えっ?楽しそうです!いいんですか?私がついて行っても?」
「さっきも言ったように自由だからな。共通LINEでいろいろ提案して行きたい方に行きたい時に行きたいやつと行くんだよ。軽くつまむもんと酒買って集合だから。」
「それならよかったです!私も先輩の行くところに興味ありますし誘っていただいて嬉しいです!でも、私まだ18歳なんで、内緒でお願いしますね?」
「なんなら酒じゃなくてもいいから、一応共通の場所だから飲むなら程々にこっそりな?ちなみに誕生日いつなの?」
「7月7日の七夕なんですよ!プレゼント楽しみにしてますね?ちなみに先輩はいつですか?」
「…実は俺もまだ二十歳ではないが内緒な?あと、本当に偶然だが俺も7月7日の七夕なんだよ…ビックリしたー…」
「えー!そんな事ってあるんですね…織姫と彦星って事ですね私たち。それじゃあ7月7日は絶対空けといて下さいね!?盛大にお祝いしてプレゼント交換しましょう!もう予定いれちゃダメですよ?」
「織姫と彦星どころか家目の前だがな。了解。余程の事じゃなければ菊一の誕生日を祝うさ。」
「先輩。なんかいろいろ運命感じるんで、一つお願い聞いてください。苗字呼びだと距離感じるんで、奈々香って呼んで下さい。」
「結構無理矢理な気もするが、そのくらいいいぞ?そんじゃ俺の入ってるサークル、オール電化に行くぞ、奈々香。」
「…やっぱり女の子慣れしててムカつきます。それに、オール電化って名前謎だしダサいです…」
「俺が付けたんじゃねえし、お前が呼べって言ったんだろが。」
俺はなぜか頬を膨らませる奈々香に苦笑を浮かべつつ、サークルへと足を進める。
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