第21話 女友達
「お洒落な店だな?結構高そうな店だが大丈夫か?」
「と思うでしょ?それが意外とリーズナブルで美味しいんだって!友達に聞いたんだよねー。アジア料理大丈夫?」
「女子はアジア料理好きだよなー。俺は好き嫌いないぞ。」
その日の夜。俺は観月と合流して、観月が行きたがっていたアジア料理の居酒屋にいた。
「紫音ほんと女の子慣れしてるね?道歩く時とか待ち合わせとか。今もさりげなくアウターかけてくれてるし。」
「言ったろ?つい最近まで彼女いたし、わりと誰でも出来るだろ?」
「意外と出来ない人多いよー?と言っても、私も男の子と出かけるってほとんど無いけど…」
「そうなのか?SKY所属ならわりと男と関わりあるだろ?うちのサークルともいろいろやってるだろ?」
「SKYはこっとみたく可愛い子多いし、学部も私文系だからあんまりねー…」
「そうか。それなら今日は楽しむか?」
「そだねー!せっかくのデートだし!」
「いつからデートになったんだ?まあいいか。」
それからは次々と出てくるアジア料理とお酒に、俺もだいぶ酔いが回る。そんな時、唐突に観月が尋ねる。
「そういえばさ?こっとの話ばかりで申し訳ないんだけど、2人はいつから仲良いの?」
「ああ。別にかまわねーよ。高1の時に同じクラスだったんだよ。席が前後で、きっかけは忘れたけど話すようになったんだ。あいつは今ほど社交的じゃ無かったがそれでもモテてたんだ。俺はまあ寝てるか携帯いじるかだったが、やれ起きなさいとか、やれちゃんとご飯食べなさいとか、母ちゃんかと思ったよ。」
「そこらへんは今も変わらないねー?でもそれだけならまあ、普通のクラスメイトって感じだけど…」
「急激に仲良くなったのはすぐあった宿泊研修だと思う。ちょっと複雑な事情があるからあまり詳しくは言えないが、簡単に説明するとあいつが言い寄られてた男から守ったまではよかったんだが、女子同士でもゴタゴタがあってな…最終的にはおさまったが、今の社交性は防御なんだとよ。」
「あー…よくありそうな話だね…気になるけど、プライバシーもあるからね。そうそれから!最近までいたっていう彼女とはなんで別れたの?」
「向こうが知らない男と手繋いでるとこ見たんだよ。事情があるにしろ事実は変わらないだろ?現に俺は琴奈とは手なんか繋がないし、好きだっただけにガッカリしたよ。もう少し話しを聞いても良かったと今は思うが、正直もう会いたくもない。」
「…話ぐらいは聞いてもよかったんじゃないかな?まあでも、紫音の言う通りだね。それじゃあ今はもう未練も無いし、会いたくもないって事だよね?」
「まだ別れてすぐだから未練がないといえば嘘だ。元カノは女子に嫌われるタイプだったが、自分をしっかり持っていたから尊敬していた部分もある。」
「ふーん。それじゃあもしかしたらもあるかも?こっととは付き合ってないんだし、他にいい人は?」
「何人かは知り合ったが今は無いな。観月もその知り合った人の1人だぞ?」
「確かに!そしたら私もワンチャンあるかもー?…なんてね。ちょっとお手洗い行くね?」
そう言い、観月は席を立つ。観月の言動に小悪魔系か…と紫音はため息を吐きつつも、少し頬が緩む。
「もしもし…うん。たまたまだよ。こっととは何も無いってさ。私も紫音に悪いしちゃんと直接会えば?会えない?まぁそうだけど…そしたら今度セッティングするから。…どうなっても知らないからね?絢美。…はぁしんど。」
観月は紫音の元カノ、絢美との電話を終えため息を吐く。
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