第17話 先輩

「おはよー!紫音くん!この間はありがとねー?

あと、ちょっと余計な事言ってごめんね…?」


「何がですか?愛莉さんが俺の事構ってくれて嬉しかったですよ。それに、そのネックレスつけてくれてるんですね?まあ俺は選んだだけですが。」


「だって…ムカついたから。でも紫音くんはわりと冷静だったから安心!ネックレス凄く可愛いもん!実質紫音くんに貰ったみたいものでしょー?」


次の日、予定通り俺はバイトで今は時間前なので、目の前で可愛く笑う愛莉さんと喋っていた。いつも明るい愛莉さんは年上特有のエロさもまじりものすごくまぶしく見える。


「ふー…わりと今日忙しかったねー?紫音くん。今日ってなんか予定ある?時間早いし、また集合して飲みに行かない?」


「そういえば最近行ってないっすね?今日はというより、わりと暇なんでいっすよ?なんか愛莉さん相談でもあるんですよね?ちょっといつもと雰囲気違ったし?」


「紫音くんって、そういうところほんとずるいよねー?そうなんだー。大した事じゃないんだけど私男友達でなんでも話せるのって紫音くんしかいなくて…ダメ?」


「愛莉さんのそのお願いの仕方よりはずるくないですよ…むしろ俺で良ければいくらでも愛莉さんに尽くしますよ。」


「やったねー!そしたら18時に繁華街の駅に集合ねー?」


「うっす。」


そう言い、帰路に着く愛莉さんの後ろ姿を少し見つめた後、俺は振り返り自宅へと急いだ。


「お待たせー!」


「俺もさっき来たとこっすよ?とりあえずいつものとこ予約しといたんで行きますか?」


「おっ!さすがだねー紫音くんは!ありがとねー?お腹すいたし、行こっか?」


繁華街の駅にて合流した俺たちは、2人の時はよく行くイタリアンバルに向かう。


「ぷはー!やっぱりここのクラフトビール美味しいよねー?料理も美味しいし!」


「ここを見つけた時は感動しましたよね?値段も良心的だし…それで、相談ってなんですか?」


「そうだね…実はね。最近ちょっと困った事があって…ハッキリ言うと、違う大学なんだけど、ちょっとしつこい人がいて…ハッキリ断ったんだけど、少し怖くて…」


「愛莉さん結構そういう人に出会いますよね?モテるのは当然として、男は諦めが肝心ってわからないんですかね?」


「紫音くんみたいな人ばかりだと助かるんだけど、結構駅で会う事があって…偶然って本人は言ってるけどなんかそうは思えなくて。」


「愛莉さんがそう思うにはおそらく理由があるんでしょうね?…良いですよ?少し荒くなっていいなら一発で終わらせますけど?」


「そうだね…紫音くんがまた怪我でもしたら嫌だし、なるべく穏便に済ませたいからほんとに申し訳無いんだけど、しばらく一緒に帰ってもらってもいいかな?交通費は払うし、彼氏だって言って諦めてくれればいいけど…」


「まあ交通費はいっすよ。そんなに偶然会うなら早く会いそうだし、あえて男友達っぽさを出せば向こうも話しかけて来る確率はあがるでしょう。彼氏感出したら後から愛莉さんがつめられるだけっすよ。」


「かもね…ほんと紫音くんは頼りになるなー?ほんとにありがとう…」


そう言って愛莉さんはジョッキを持つと、勢いよくビールを流し込む。

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