第16話 ビデオ通話

「ふーん?澤村君と雛と旅行ね…あなたの予定はどうなの?」


「俺は最初の1.2なら休みだ。まあ楽しそうだし、お前が行けそうなら休みもずらせる。」


その日の夜、俺は琴奈とビデオ通話をし、ヒデからの提案を琴奈に話していた。


「あら。ちょうど私も1.2が休みよ。旅行は私も好きだし、あの2人ならいいわね。まあ、少し気を使うから、いっそあなたと2人でもいいのだけど。」


「もともと雛とは友達だろ?俺たちがあそこくっつけたみたいなもんだし。まあでも、奇遇だな?俺も同じこと考えてたよ。そのうちまた2人でも旅行行こうや。沖縄とかいいな?」


「女2人と4人では違うのよ。人にじゃなくて、カップルに気を使うって意味よ。あと、沖縄いいわね?お金貯めて夏休みにでも行きましょうか。ところで、あなた実家には帰らないつもり?」


「別に帰ってもやる事ねーし、愛莉さんが実家遠いいから一応気を使って1.2以外はバイト入れたんだよ。稼ぎどきだろ?お前は?」


「それなら仕方ないけど、たまにはお母さんに顔見せなさいよ?私は帰るわ。家のネコとも遊びたいから。」


「はいよ…」


「よ…はいらないわ。」


「おっと、ヒデから連絡きたぞ?今お前にもプラン送るわ。」


「どれどれ…へー?ここ有名な温泉街のいい旅館じゃない。さすが澤村君ね。この値段で泊まれるなんて。」


「だな。たまたま友人になったが、ありがたく利用させて貰おう。」


「そっちのサークル…オール電化だったかしら?何度聞いてもダサい名前ね?最初聞いたときはネタかと思ったけど、それでも活動内容とかはあなたが好きそうだし、今日行ったんでしょう?」


「ああ。ツーリングの時にヒデからその話しがあったんだ。雛も会いたがってるって言ってたぞ?」


先程から登場している、雛とはヒデの彼女で、

前田雛乃(まえだひなの)。元々高校も一緒で、琴奈とは仲が良くその紹介で俺も仲が良い。ちょうど2人を引き合わせる形で4人で飲み会をしたところ、上手い具合に付き合い、俺と琴奈はキューピット的な存在になった。


「連絡は取ってるけど、なかなか会う機会がなくて。雛は違う大学だし、一応SKYには入ってるけど、澤村君と付き合ってからはあんまりね。」


「まあヒデはそこら辺わかるやつだから、そんなに気を使わんでも良いだろ?」


「あなたがそう言うのならそうね…明日は10時からバイトだったかしら?私も明日はサークルで登山に行くからもう寝るわ。とりあえず旅行の前に4人で飲みにでも行きましょう。…おやすみ紫音。」


「おっけ。ヒデにも伝えとくわ。ケガすんじゃねーぞ?そんじゃ、おやすみ琴奈。」


いつものやりとりのあと、あら、心配してくれるのかしら?とからかってきた琴奈にたいし、ったく、あたりめーだろ?とだけ照れ隠しで返す。受話器越しに琴奈が少し笑っていたが、俺はすぐにビデオ通話を切った。

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