第14話 プレゼント

「ふー落ちつくわね。やっぱり紅茶ね。あなたはコーヒーかしら?」


「まあな。気分も少し落ち着かせたかったし、助かったよ。」


あの後、愛莉さんと別れ、2人は駅の喫茶店にてお茶をしていた。


「あの子はこの間飲み会した大学にいるらしいから、会う事もあるかもしれないけど、冷静に行動しなさいよ?まあ…私が言えた事じゃないわね…」


「俺は冷静だったよ。むしろ2人が構ってくれたのが嬉しかったぐらいさ。お前のそういうとこ俺は好きだぞ?」


「…ばか」


そう言うと、琴奈は可愛くラッピングされた小物を差し出す。


「キーケースよ。可愛かったから私も色違いのお揃いにしたわ。」


「すまんな?あえてお揃いにする必要はないんじゃねーの?なんか照れるな。」


「ばかね。深い意味はないわよ。初めてのプレゼントだったし、可愛かったからよ。あとこれからもよろしくって意味よ。」


「可愛いとこあるじゃねえか。まあお前が可愛いのは今に始まった事じゃないがな?」


「はい?あなたさっきから口説いてるの?悪いけど別の日にしてくれないかしら?ちょっと今は機嫌悪いのよ。」


「感謝の気持ちを述べただけだろ…まあこれからもよろしく。」


そういい、2人は各々の飲み物を飲み干す。紅茶を飲んでいる琴奈が少し微笑んでいたのを見て、俺も軽く微笑んだ。


「先輩!お帰りなさい!スーパーよって帰りましょ!」


「やはりいたか。まあLINEは見たからわかってはいたが。」


あの後、琴奈とは駅が違うため先に降りた琴奈を見送ったあと、紫音の言う通り菊一から、今日ご飯作ってください!駅で待ってますから!と言う一報がはいっていた。昨日の事もあるので俺はその提案をのむ事にした。


「へー。先輩ほんと手際いいですね?さすがはキッチンで働いてるだけありますね?」


「もうすぐ出来るからテーブルかたせ。今日はわりと気合いいれたぞ?昨日のお礼もあるからな。」


「やったー!デザートまであるし、先輩最高です!」


2人は料理を並べ、席につく。


「ところで菊一。これやるよ。」


「何ですかそれ?開けますね?…キーケースじゃないですか!?何のプレゼントですか!?」


「まぁ元気出せってとこだ。昨日のお礼もこみで安もんだが菊一のバックのブランドだろそれ?毎回玄関やら駅やらで待たれたんじゃ落ち着かんからな。

うちの鍵もついでに持っとけ。居座られるのは困るがな。あと、来るときは事前に連絡くれたら俺がいなくてもいてもいいぞ。」


俺は琴奈とは別のレジでこっそりこれを買っていた。別に隠すことではないが、他の女の子の事を考えていると後からネチネチ言われそうだから黙っていた。


「ちょー可愛いです!先輩私服もそうですけどやっぱりセンス良いしよく見てますね?鍵も嬉しいです!一生大事にします!」


そう言って喜ぶ菊一を見て、俺は不思議と心が安らいだ。

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