第10話 2人で二次会

「全く。あなたのせいで散々な飲み会になったわ。まあ軌道修正したのはさすがだけど、次はないわよ?」


「俺もとっさだったんだよ…とりあえずの詫びにここのバー連れてきて飲み直してるだろ?」


「ここはいつも来てるのだから足りないわ。そうね明日買い物に付き合いなさい。春物買いたいし荷物持ちにしてあげるわ。」


「仰せのままに…」


飲み会は無事(?)終わったが、二次会という空気では無かったため、俺は琴奈へのお詫びも含めバーで飲み直している。わりと2人や1人で来る馴染みのジャズバーだ。


「話聞かせてもらったけど、紫音くんもやるね?なかなかできる事じゃないけど、琴奈ちゃんにとってはいい迷惑だよ?」


そういい、話しかけてきたのはマスターの千葉さん。寡黙な人だが、話しやすく、俺も琴奈も心を許している貴重な存在だ。


「ほんとですよね。まあ今に始まった事じゃ無いけど、無駄に煽って殴らせたのは感心しないわ。痛いとか痛く無いとかの問題じゃないのよ。」


「俺もだらだら面倒事に付き合うのはごめんだし、いっぱつで終わらせたかったんだよ…」


「仕方ないわね…それと、あなたも仲の良い人が出来たのはよかったわ。観月。いい子でしょ?」


「ああ。趣味もわりと合うし、知り合いがお前しかいないから助かったよ。あの子にも今度埋め合わせするさ。そのうち学校でも会うだろ。」


「それもそうね。それよりもあーちんのこと詳しく聞かせなさい。別れる前日まで普通に会ってたじゃない?」


「ああ…お前には連絡いってないんだな?まあお前事敵視してたししゃあないか。実は…他に好きな人が出来たっての、知ってたんだ。別れる前の日に他の男と手繋いで歩いてんの見たってリークがあってな。俺とお前みたいな関係ならまだしもカッコいいって有名な先輩だったよ。」


「そう…」


「それで聞いたのさ。昨日男と手を繋いでるの見たんだけど…ってな。そしたらあいつ、見たんだ…でも違うの。それには理由がって…言いかけたところで俺は突き放した。それで最初の流れだ。なあ?もっと聞いてあげるべきだったのはわかってるが。信じたかったがダメだったんだ…」


「…マスター。紫音に水あげてください。あと私に強いお酒下さい。」


「かしこまりました。紫音くん。間違ってないよ。縁がなかった。それだけだよ。」


「ありがとうございます…千葉さん」


「ムカつくわね。あなたの反応は当然よ。正直言えば、私に連絡来たわよ。紫音くんに何言ったの?って。私は理由を知らなかったから何が?って答えたけど、納得いったわ。」


琴奈はそう言うと、少し強めのお酒を流し込み、ボーっと前を見つめる。

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