第8話 飲み会2
「わざわざ最初に来てくれたのか?反応見てるとわかるが人望あるんだな?」
「私は幹事だから全部の席回らないといけないけどとりあえず最初はここにいるわ。席詰めて。」
そう言うと、琴奈は俺に身体を密着させ、ぐいぐいと奥へと押し込む。いい匂いがする琴奈に少しなんとも言えない感情になるが、俺たちの距離が近いのは今に始まった事ではないので俺は奥の席へと身体を移す。
「琴奈ちゃんこっちで飲もうよ!琴奈ちゃんに会いたかったんだよねー?こっちの大学でも人気だしお近づきになりたいんだよねー!?」
「ありがとうございます!でもみんな可愛い子だしそっちの席も盛り上がってるじゃないですかー?」
「確かにみんな可愛いけど、ぶっちゃけ俺は琴奈ちゃんがタイプなんだよねー!彼女いないし立候補しちゃうよー!とりあえず待ってるねー?」
いかにもチャラそうな奴が琴奈の事を口説き始める。正直俺はこの手のタイプは今までも散々見て来た。2人の時は軽くあしらうが、今回は飲み会なのでそういうわけにもいかない。琴奈のメンツもあるし面倒ごとはごめんだからだ。
「相変わらずモテるな。まぁ行ってやれよ。今回は飲み会だしな。俺は黙って飲んでるよ。」
「仕方ないわね…とりあえず行ってくるわ。先に帰るんじゃないわよ?」
そう言うと、琴奈はチャラそうなやつのテーブルへと足を進める。
「ふふっ。こっとが行っちゃって寂しそうだね?佐々木くん。ねっ?少し私と話そう?」
「そう見えるか?何故俺の名前知ってるかは知らんけど、知り合いがあいつしかいない今の俺にはありがたい。とりあえずKP。」
「ひどーい。覚えてないんだねー?スノボーの時ゴンドラで少し話したじゃん!まあ名前はこっとから聞いてたんだけどね?かんぱーい。」
迎えに座っている女の子と俺は乾杯をする。少し明るめの髪色に可愛らしい顔。モテそうな子だな…というのが第一印象だ。聞くところによると同じ大学で学部は違うみたいだった。
名前は七条観月(しちじょうみつき)
だそうだ。
「2人はほんと仲良いよね?こっとて、佐々木くんといる時あんな感じなんだね?それは勘違いされても仕方ないよ。学校でも2人でいるのたまに見るし。」
「七条はあいつと仲良いのか?てか名前でいいよ。佐々木ってありきたりだし。かぶるから。」
「うん。サークルで結構仲良くてね?たまに飲みに行ったりもするよ。そしたら歳も同じだし紫音でいいかな?私の事も観月でいいよ?」
「おけ。」
そういい。俺たちは再び話す。趣味や地元の話なんかで盛り上がり連絡先を交換したところで、他のテーブルが少しざわついているのがわかった。
しかし俺は戸惑いはしない。
何故なら先ほどのチャラい大学生と言い争いをしているのは何を隠そう、昨日会った後輩の菊一奈々香なのだから。
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