第6話 電話
「遅い。もう眠たいんだけど。」
「すまん。いろいろあってな。」
帰って来た俺は、琴奈へ電話をした。
流石に寝てるかと思ったが律儀に待っているあたりが琴奈の女子力の高さだ。
いつもはビデオ通話なのだが、流石に遅いからと電話にしている。
「まずはこっちの用事を話すわよ?飲み会の件は2日後の18時からよ。その日はバイト無いのでしょう?私は幹事もやってるから早めに行くからあなたも付き合いなさい。」
「んな面倒い事もやってんのか?まぁでも幹事は信頼されてなきゃ出来んし、少しちょろまかせば稼げるしな。バイトはバッチリだ。愛莉さんにもバレてないはずだ。」
「稼げる件は余計よ。どうせすぐバレるわ。愛莉さんは観察力あるし、所詮同じ大学だし。しっかり埋め合わせしなさい。」
「今日もパフェ食べに行ったばかりなんだがな…
まあいい。とりあえず服装はジャケットで行くわ。時間は任せるぞ?その日は講義ないしだらだらしてるから。」
「わかったわ。早めに連絡するわね?…それで、なんでこんなに遅くなったのかしら?」
「流石にかわせんか?まあ隠すことでもないし…」
琴奈に詰められた紫音は奈々香との一件を話す。
「その子大丈夫なの?冗談でも別れてすぐに男の家に行くって言うなんてあなた騙されているんじゃないのかしら?」
「社交辞令だろ。それに…別れた現場は俺も見てるからな。男の方はまだ諦めてないみたいだから一悶着あるかもな。おそらく俺は利用されると思うから怪我したら手当て頼むわ。」
「はぁ…わかってるならやめなさいよ。あなた、私の時も同じことしたくせに。」
「高校の時の話か?まあそれで丸く収まるならいいじゃねえか。ほんとにヤバくなったら反撃するしな。」
「それもやめなさい。あなた無駄に格闘技やら筋トレやらしてるのだから、相手がかわいそうだし、そのモブのために捕まりでもしたら意味ないわ。手当てならしてあげるわよ。」
「そこは上手くやるから大丈夫だ。それに、女の子自体はいい子だしな。」
「…まあいいわ。せいぜい足元救われないようにしなさい。タダでさえ彼女にもふられてるのだから。それにしても、あーちんも見る目がないわね。私にはあなたの事手に取るようにわかるけど、他に好きな人が出来たなら仕方ないわね。」
「おいー。ズバッと言うんじゃねーよ。そりゃ俺たちの仲だしな。気を使わないあたり俺は助かるがな。気を使われんのも結構疲れるからな。」
「なんとなくそんな気がしてたけど、あーちんの話しはまた今度詳しく聞くわ。もう眠いから寝るわね?時間は連絡するわ。あと、ちゃんとお風呂入りなさいよ。…おやすみ紫音」
「母ちゃんかよ…おやすみ琴奈。」
普段俺たちは、あなたとお前の仲だが、電話の最後だけ名前で呼び合うようにしている。いつから始まったのか暗黙のルールとなっていて、実は俺は気に入っている。
紫音は少しボーッとしたあと。お風呂へと足を進める。
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