その後(黒幕)
田端や田辺、永田議員に手紙を送り犯罪者を仕向けた黒幕がいた。
数多くの刑事事件を担当してきた弁護士の
彼は自分が弁護してきた犯罪者たちの多くが再犯に及ぶ事実に愕然し、出所後の犯罪者が直面する社会の実態を長年、調べていた。
また、少年犯罪や補導されるなど若い時にヤンチャをし周囲に迷惑を掛けてきた人間が大人になり更生している特集を見る度に、その人物の地元まで足を運び苦労を掛けられた人たちの話を聞いていた。その中で分かってきた事は、テレビに出演していない人物たちは、その人間のせいで人生を狂わされたり、未だに怒りが収まっていない人たちがいる事だった。
黒田はそういう人たちとの話を通して、社会に出て更生をしたとしても、若い頃のヤンチャを武勇伝のように笑って話すような連中。昔に散々、迷惑を掛けるだけ掛けたにも関わらず、本来、謝罪すべき人たちへの謝罪はせず、人のため、社会のために出来ることを頑張るんだという自己満足に浸っている人間たちが許せなくなっていた。
人権団体にも潜入した事もあった。黒田が潜入した複数の人権団体では大半が加害者・被害者とは全く関係ない第三者たちが自らの自己満足を満たすため、自分はこんなにも善い人なんだとお互いが確認し合っているだけのゴミみたいな現実を知った。
黒田はこういった連中たちが実際に犯罪者と接点を持った時に、どう反応するのか。今の主義主張を崩さずにいることが出来るのかを確かめたくなり、今回の凶行を画策した。
ただ一点だけ誤算があった。
それは、本来は永田議員の息子を拉致誘拐だけで終えて解放するはずだったが、半田が暴走し罪のない人を殺してしまったということ。
半田が事件を起こしたあと、黒田は身の回りの全てを整理した後、自首した。
怨上(えんじょう) 乃木希生 @munetsu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます