最終章part6
「もうお前の言い分は聞き飽きた。お前の顔は二度と見たくない」
刑事は半田の取り調べを強制的に終了し送検した。
検察での取り調べでの半田は罪を認め、裁判へとスムーズに進んだ。
国会議員の息子を殺害した半田の裁判は、世間からの注目度も高く傍聴席200席に対して、2000人が並ぶ自体になった。
裁判で犯罪を犯した理由を聞かれた半田は、刑事に話したことと同じ趣旨の発言をした。
「立法機関である国会を担う国会議員を被害者遺族にすれば、犯罪者に対する厳罰化や死刑制度の形骸化を防ぐ国になると思ったから。犯罪者の社会復帰を本気で支援してくれる人がいる事も知っている。しかし、やはり多くの日本人は自分の周辺に殺人犯がいる事を嫌い、恐怖し、集団で排除しようとする。
自分や大切な人の命や安全が奪われる『かもしれない』。
この可能性を感じるだけで、自分たちの安全を確保する為なら過激な事すら出来てしまう。『正義』という大義名分の名の下に。
罪を償い、二度と同じ事はしないと訴えても、私たちの発言は普通に暮らしている人たちには信じてもらえない。
『犯罪者にも人権を』『社会復帰を支援する事が大事』とうたい、人を雇う力を有した人間でさえ、私のような殺人犯は適当な理由を付けて採用しない。
それならいっそ、犯罪を犯した人間は社会から完全に隔離し、死刑へのハードルを下げるべきだと俺は思っている。
そのことを主張する場が欲しかった。
ただそれだけの自己中心的な理由で殺害しました。」
半田の隠し事もしない本音に、その場にいる全員が静まり返った。
その後、形式的なやりとりが続いたが、被告人自体が死刑を望んでおり、求刑も死刑。
裁判官は求刑通り、半田再造を死刑とした。
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