最終章part4

「何で、死刑制度撤廃や人権を叫んでいる連中をお前が恨むんだ?お前にとっては、そういった連中の主張はプラスなんじゃないのか?」

取り調べをしていた刑事が疑問に感じた事をぶつけた。


「そういう事を主張する連中に限って、犯罪の当事者や関係者になった事がない。安全地帯にいる第三者が理想論を掲げて、自分は理解がある人間だというパフォーマンスでしか語っていないからだ。もしも、自分にとって大切な存在が理不尽に命を奪われたら間違いなく人権だ、死刑廃止だなど悠長な事を言っていられるハズがない。俺は自分が蒔いた種で両親が殺されたが、それでも何の罪もない両親を殺した犯人を俺は殺したいほどに憎んでいる。理不尽に人を殺した俺がそう感じるんだから、誰だって復讐したいと思うだろう。


それに長期間、塀の中で生活をしてきた受刑者が高齢で社会に出されても働き口も無いし、日常生活では他人から執拗な嫌がらせを受け続ける事になる。金もなく心の安らぐ場所もない人間は何を考えると思う?」


「衣食住に困らず、生活し慣れたムショに帰ろうとする?」


「さすが刑事さんだな。その通りだよ。ムショに入るために小さな犯罪を繰り返すようになる。まぁ、ムショが嫌な奴は、炊き出しを求めてホームレスになる奴もいる。自業自得ではあるんだが、重犯罪を犯した人間の社会復帰は簡単ではない。その事実も知らないで、犯罪者の社会復帰や人権を強く訴える連中が多すぎる。そいつらの中には、人を雇える力や財力を持っている連中もいる。しかし、そいつらが俺みたいな人間を雇うことはない。


なぜか?それは、殺人犯が自分の周囲にいることが怖いからだよ。結局、一番犯罪者を軽蔑し人権を無視しているのは声高に主張する連中なんだよ。」

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