最終章part3
息子を無残に殺害された永田議員は報道陣に連日のように追い回され、犯人に対する意見や『犯罪者にも人権を』という考え方への変化などコメントを求められ続けた。
あまりにもしつこいマスコミに対し、永田議員は文書にて回答した。
『今は息子を理不尽に失った悲しみに心を囚われているため、そっとしておいて頂けますと幸いです。心の整理には時間が必要ですが、近日中に必ず皆さまの前で私の考えをお伝えさせて頂く事をお約束させて頂きます。
衆議院議員 永田権利』
一方、警察に逮捕された半田は、
「『死刑制度撤廃』や『犯罪者にも人権を』と声高に語っている奴らが単純に憎かった。犯罪の加害者・被害者どちらにもなった事がない人間が、自分の正義感を満たすためだけに耳障りの良い発言を無責任に発している事が許せなかった。
もちろん犯罪を犯す事が何よりも悪く、この言い分は単純に当てつけでしかない事も理解している。それでも、犯罪者が塀の中でどんなに罪を犯した事を後悔し、悔い改めていると言葉で表現しても、周囲の人間は犯罪者の言葉を信じる事はなく過去の行動を引き合いに出し、自分自身に危害を加えられる『かもしれない』という恐怖心によって、自己防衛の道に走る。
自己防衛が集団になると、危険対象を攻撃し排除しようと動いていく。大人しい性格をしている人であっても、自分や家族、地域社会を守るという大義名分を得た瞬間に普段からは想像できない攻撃をしてくる。
でも、私はその行動を責めるつもりは一切ない。なぜなら、私だって近所もしくは隣人が殺人犯だったら、自分に危険が迫るかもしれないという恐怖で同じ事をする可能性はあるから。」
と今回の犯罪を犯した動機を話し始めた。
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