最終章part2

『国会議員の息子が誘拐され殺害された。』

この事件はすぐにマスコミによって報道され日本中が知る所となった。事件の無情さ、無慈悲すぎる事実に多くの国民はSNSで『犯人を許すべきではない。』『すぐさま死刑にすべき』といった過激な論調が展開された。


また、被害者遺族の永田議員が『犯罪者にも人権を』といった主張をしている事に目をつけたネット民たちは、『永田が犯人に対して本心ではどう思っているのかを包み隠さずに話すべきだ。』といった煽りを展開していった。


そうした中、警察の威信をかけた捜査の末に、住所不定無職の半田再造はんださいぞう、年齢56歳を逮捕したと報じた。

すると、即座に半田再造に関する情報が次々とネット上にアップされていった。



半田再造。

共働きの両親の元に生まれる。決して裕福とは言えない家庭で育った彼は、子供の頃は貧乏を理由にイジメられるが、生まれ持った体格の良さをフル活用し、イジメていた連中を片っ端から暴力で押さえつけ、学校側も手を焼く存在だった。その後、何とか高校を卒業し地元の町工場に就職するも、その職場の先輩たちから執拗なイジメにあっていた再造は21歳の時に、主犯格の先輩2名を殺害し、懲役35年を言い渡された。


再造が死刑にならず懲役刑となったこと、再造自身が反省の弁を述べなかった事などが、

本人だけでなく両親にも世間や社会から執拗なバッシングや嫌がらせを加速させ、両親は精神的に追い込まれていった。そして両親が被害者家族に謝罪に行った時、被害者遺族の父親に刺されて再造の両親は亡くなった。


35年間の刑期を満了し出所した再造だったが、住む先々で過去の犯罪行為が何処からか漏れ伝わり、嫌がらせを受け続け、就職しようにも中々雇ってくれる所がなく、最終的に路上生活を余儀なくされていた。


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