最終章part1

田端、田辺に届いていた手紙は、団体に関わりのある国会議員、永田権利ながたけんりにも届いていた。永田自身は、国会議員という事もあり万全なセキュリティの中で生活し、こういった手紙が届く事は日常茶飯事だった事もあったため、田辺同様、全く気にしていなかった。


しかし、永田には数日後にも差出人不明の封筒が届いた。封筒の中には、一枚の写真と紙切れが入っていた。その写真には一人暮らしをしているはずの一人息子が縛られ、どこかの廃工場に監禁されている様子が写っていた。


紙切れには、新聞の切り抜き文字で、

『警察に通報しても構わない。どちらにせよ、お前の息子の命は奪う。被害者遺族になっても、今と同じように主張できるかどうかを試させてもらう。』

と書かれていた。


永田はすぐに息子の携帯へ電話を掛けるも繋がらなかった。心配になった永田は息子の家に急いで向かうも、その部屋には、もう何日間も人が住んでいる気配が感じられなかった。隣に住む住人にも確認したが、ここ数日、息子を見たという人はいなかった。写真が現実に起きている事だと確信した永田は急いで警察署へと駆け込み、被害届を提出した。



国会議員の息子誘拐という性質もあり、警察庁の幹部が陣頭指揮を取り、大規模な捜査が行われた。すると写真検証をしていた科捜研から場所が特定できたと報告が入り、捜査員を現場に急行させると、そこには既に息を引き取った亡骸が無造作に放置された状態で発見された。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る