ストーカー犯と美人弁護士part1

人権団体の主要メンバーの一人、田端美麗たばたみれいは美人弁護士としてマスコミにも度々取り上げられる人物だった。美人という容姿に加え、弁護士としての実績も群を抜いており数々の企業法務での裁判で勝訴を収めるなど華麗な経歴も持ち合わせていた。

美人で知的、忖度をせず思ったことをズバッと言う竹を割ったような性格がお茶の間やネット民にも好評で、最近はコメンテーターとしての仕事もこなすようになっていた。


そんな彼女に放たれた犯罪者は、これまで3回ストーカー規制法により逮捕・起訴された、通称『粘りサイコ』と言われる有名なストーカーだ。田端も当然のように一度は顔を見たことがある人物だ。それなのに、なぜ粘りサイコが刺客として選ばれた理由は大きく二つ。一つ目は、容姿がどこにでもいそうな男性であり、記憶に残りづらいこと。二つ目は、3回の逮捕は全て別人をストーカーし続け、被害者は全員、引きこもりや精神崩壊、一人は恐怖のあまり自殺未遂をしてしまうほどのトラウマを抱えさせるほどに悪質な人間だったということ。



田端は手紙を受け取ってから真っ先に人権団体のメンバーであり、旧知の仲である経営者、田辺億都たなべおくとに連絡を取ったが、田辺は『こんな嫌がらせは日常茶飯事だし、こういった活動をしていれば脅しような事もあるから気にしていても仕方ない』と気に留めていない感じだった。


田端自身もテレビ出演が増えてからは、SNSや事務所などにも誹謗中傷や軽い脅迫を受けた事もあったので、田辺が気にしないと言っている以上、自分も気にしても仕方ないと思い直して気にかける事を辞めた。この決断が最悪の事態を巻き起こす事になるとは、この時の田端は想像すらしていなかった。


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