第2話
唐突に部活のグループラインに通知が入ったので、アカネは驚いた。
am2:18
こんな時間に、どうしたんだろう。
そんな気持ちで寝ぼけたままスマホの通知を見たアカネは、一瞬、世界が止まるのを感じた。
えっ。
そこには信じられない、本当に信じらない文言があった。
「卓也が事故に巻き込まれて、病院に搬送された」
震える準備すらできていなかった。体は堪えきれない恐怖に包まれていたけれど、脳がついてきていない。
「怪我は、大丈夫なの」
仲間が慌てている通知が溢れるけど、アカネはまだ思考が止まったままだった。
「やばいかもしれない。」
暗闇で画面を見たまま呆然とするアカネが、次に送られてきたメッセージの意味を理解したのは、もう少し経ってからだった。
「卓也、かなりの重症らしい。助からないかもしれないって」
ふと画面に滴る涙。うそだ。そんなわけない。卓也が事故に巻き込まれたなんて、そんなわけない。
アカネは、声を上げて泣いた。幼子のするように、本当に声を上げて泣いた。不安だった。
am3:25
「このご時世だから、病院に行くことも難しいらしいから、今は連絡を待っていてほしい」
眠れるはずもなかった。
翌朝まで、アカネは携帯を握り締めたまま、部屋から出なかった。両親には体調が悪いと告げて、ひたすら祈り続けた。
連絡が入ったのは、8時頃だった。
「卓也が、死んだ」
逆に何も信じられなかった。信じてはいけない気もした。そんなわけない。そんなことがあるわけがない。でも今度は、全身が震えていた。実感はないのに、恐怖が勝っていた。
卓也が、死んだ。
声に出して呟いてみる。そんなことがあり得るわけない、と思った時には、あかねは力なく床に崩れた。
卓也が、死んだ。
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