第8話 掛橋隣
悪友兼親友、
ピンポーン、というインターホンの音はないままガチャ、という無作法な音が聞こえてきた。どうやら奴が来たようだ。
「ハロハロー!お邪魔しまーす!答真居るー?」
「お前はいつでも元気だな」
「あれ、答真君居ますかー?」
「いや、目の前にいるけど」
「相間さん相間答真さんいらっしゃいませんかー?」
「はーい!今行きます!って僕は患者じゃないし、お前は病院の受付嬢かよ!」
「いやー、鋭い。今日もキレッキレだね。硬い南瓜でもスパッと切れそうだ。でも、お高いんでしょう?」
「それが驚き9800円!もう一丁お付けしてお値段そのまま9800円での販売です!ってどこの声高め系ネットショッピングだ!」
「あははは、ほんと愉快だなあ。こんな良い奴が1万円で買えるなら安いもんだよ」
「それはどうも。ただその例えのままいくと僕が2人になっちゃうぜ」
「2人はいいや!1人で十分満腹だよ」
それは褒め言葉なのか貶し言葉なのか。ここは取り敢えず良い意味で捉えよう。
「それより、そのビニール袋なに?」
「ああこれ?ここ来る時に近所のばあちゃんにジュース貰ったんだよ。暑いからこれでも飲みなさいって」
「隣は本当に顔が広いよ」
「俺の顔そんなにでかい?」
「物理的にじゃない」
「ああそっちね。答真が暑さでおかしくなっちゃったのかと思った。俺は小顔のナイスガイだからな」
今のやり取りで思い出したが隣が明るく、人間関係が豊かなのはこの馬鹿さの助けもある。この間の抜けた雰囲気が親しみやすさを生んでいるのだ。つまり愛すべき馬鹿なのである。
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