3 バトルデバイス

 フィールドの端に設置された機器に、遼太はARPTで認証する。


 遼太の真似をして、悟もARPTで機器に認証した。


「俺も君に合わせて、レベル一の存在を使うから、安心しなよ」


「お気遣いありがとうございます」


「それじゃあ、ルールは一対一の一騎討ちでいいよね」


 遼太の言葉に悟は頷く。


「はい、大丈夫です」


 遼太は悟が頷いたのを確認して、ゲームを開始する。


「戦争を承認する」


「戦争を承認する」


 遼太の言葉に、遅れて悟も繰り返す。


「get underway」


 悟の周りに空間が展開される。


 ARPTは空中ディスプレイを映し出す。


「数字が表示されているだろう?その数字は準備時間だ。ゼロになるまでに一体目の存在を選ばなければならない」


 うーん、一体目はなんにしよう?様子見でエルフかな?


 一体目に悪鬼を出しても良さそうだし。


 獬豸は最後に温存したい。


 悩むなー(汗)


「準備時間は五分しかないから気をつけてね」


 むむむっと悟は、自分の存在と睨めっこしている。


 初めての擬似戦争みたいだし、手加減して負けてやるかと、遼太は作戦を決める。


 なるべく弱い存在を出してあげよう。


 準備時間が終了し、お互いの一体目が召喚された。


 遼太が選んだ存在は、-Xスケルトン、悟が召喚したのは様子見でエルフ。


 スケルトンもエルフも、レベル1である。


 エルフか、スケルトンには相性があまりよくはないな。


 クラス差はあるけど、スケルトン有利の相性だ。


「スケルトン、切り裂け」


 遼太の命令に骨の剣士は、美しい女エルフに向かって、剣を振り上げた。


「躱して弓を射ろ」


 悟は咄嗟に指示を出す。


 スケルトンの剣は虚空を切り裂いた。エルフは俊敏な動きで後方に下がると、弓を射る。


 しかし、スケルトンの体は、エルフの矢を弾いた。


 スケルトンは打撃系統の攻撃に弱く、弓矢は効果が薄い。


 躱して攻撃へ転換したのは素晴らしい。しかし、スケルトンの相性に気づかなければ、勝つことはできない。


 スケルトンとエルフの攻防が始まって、五分が経過した。


 エルフは躱して弓を射るの繰り返しで、スケルトンにダメージはない。


 隙を突き、スケルトンの剣の薙ぎ払いが、エルフを捉えた。


「スケルトンを蹴り飛ばせ」


 もうダメかと思われたが、悟の指示が明暗を分けた。


 エルフは、スケルトンの脛骨を蹴り飛ばし、蹴り飛ばされた脛骨は砕けた。


 そしてスケルトンは、支えを失い崩れ落ちた。


「スケルトンにトドメをさせ」


 悟の命令に従い、エルフはスケルトンの頭蓋骨を蹴り飛ばした。

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デジタルコード 七星北斗(化物) @sitiseihokuto

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