1 始まり

 僕の名前は照川悟てるかわさとる、中学一年生だ。


 この日初めて、ショップを訪れた。


 僕はARPTが欲しいと両親にしつこく頼み込んで、ようやく持つことを許された。


 ARPTとは『arcana project』略してARPT。


 空中ディスプレイが可能で、空間をデジタル化できる通信機器である。


 ARPTにはAタイプからZタイプの種類があるが、どれも性能は同じである。


 僕は、その中からAタイプの赤を選んだ。


 僕の夢は、Tell the worldの大会で優勝することだ。


 Tell the worldとは、ARPTでのみ使えるゲームアプリである。


 偉人、英雄、伝承、伝説、悪魔、妖怪、幽霊、神を呼び出し、実体化させて、擬似戦争を体験できるアプリである。


 呼び出される偉人、英雄、伝承、伝説、悪魔、妖怪、幽霊、神のことを総称して存在と呼ばれている。


 呼び出せる存在は、今後のアップデートで、追加を予定されているらしい。


 存在の強さは+AAAクラスが一番強くて、-Zクラスが一番弱い。


 擬似戦争ではクラス、レベル、相性、ステータスによって決まる。


 レベルを上げるための経験値は、擬似戦争をすることで入手できる。


 ステータスを上げるには、増強をおこなわなければならない。


 増強のやり方は、強化したい存在に存在を重ねることで強化できる。しかし、重ねた存在は消滅する。


 増強を行うと極稀に変異する場合があるらしいのだが、僕にはまだよくわからない。


 擬似戦争の形式は、コンピューターを相手にするシングルプレイ。


 一対一の一騎討ちなどや、複数のプレイヤーで、一つのチームをなして戦う団体戦などがある。


 擬似戦争の戦い方は、最小一の存在から最大十二の存在を一体ずつ、もしくは二、三体ずつ戦わせることができる。


 擬似戦争を行う場合は、お互いに同数でなければならない。


 擬似戦争の勝利条件は、相手を降参させるか、相手の存在を打ち消した方が勝利となる。


 存在を打ち消す方法は、単純に力で捩じ伏せて、屈服させることである。


 存在は持ち主を王と呼び、王に相応しくない人物からは去る。


 悟はショップを一通り見ると、手頃な値段のCクラスのエルフを買い、出てきたデジタルコードをARPTでスキャンした。


 人生初ゲットした存在はエルフ……Cクラスだけど。


 家に帰ったらガチャを引いて存在をゲットしようかな。


 今僕が知っている存在の入手方法は三つある。


 徴集、つまりガチャにより強制的に呼び出すこと。


 招致、大会などで優勝することで呼び出せる。


 そして今回僕が利用したショップである。


 店内を見て回ると、あるコーナーに悟の目が留まった。


 へー、お着替え衣装とかあるんだ!今はお金がないからパスかな。


 そういえば、Dクラス以上の存在は男性、女性どちらにも変更できるって京平言ってたな。


 やっぱりエルフは可愛い方が良いよね。女の子に決定。

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