第660話 集いし5人
レッピー>【チームりんりん】『今日から大会に向けた練習しよーぜ。20時過ぎからよろー』19:01
風呂から上がった19時過ぎ、スマホを見てみたらこんな通知が入っていた。
それに応えるように。
武田亜衣菜>【チームりんりん】『その誘いするの忘れてた!』19:01
武田亜衣菜>【チームりんりん】『恋々亞ちゃんありがとう!がんばろーね!』19:02
佐竹弥生>【チームりんりん】『承知致しました。よろしくお願いします』19:02
レッピー>【チームりんりん】『本名やめろ』19:02
なんてやり取りが続いてて、
というかそうか、普通に練習する気満々だったけど、レッピーの奴まだみんなに声かけてなかったか。
北条倫>【チームりんりん】『了解』19:06
ってわけで、俺も分かってた話ではあるがみんなに了解を伝えてから、髪を乾かしているだいに変わってだいが作ってくれた夕飯の準備にとりかかる。
そして準備を進めながら、ふと考える。
平日の夜に、彼女が夕飯を作ってくれていて、一緒に風呂に入り、一緒にご飯を食べ、そして一緒に共通の趣味に興じる、か。
……これちょっと、勝ち組過ぎん?
いや、勝ちとか負けとかそういう言葉で表す話でもないんだけど、それでもこう、多幸感が募るわけで。
「味噌汁温め直しとくなっ」
「ありがと。でも沸騰させちゃダメだよ」
「分かってるって」
そしてそして、本当にもう夫婦みたいな会話を交わしつつ、俺は朗らかな気持ちで定刻の時間へ進むのだった。
☆
同日、19時56分。
〈Zero〉『パーティ誘うの鬼早だなおい』
〈Cecil〉『時間は有限!』
〈Cider〉『こんばんは。よろしくお願いします』
〈Daikon〉『こんばんは』
〈Cecil〉『菜月ちゃんやっほー☆』
〈Cider〉『あ。オンでも本名で呼ばれるんですか?』
だいの美味なる夕飯を食べ終え、洗い物を済ませてからだいと共にLAにログインし、軽く【Teachers】に挨拶したと思ったら、すぐさま飛んできた
それに応えて俺がパーティに参加したことで一時的にパーティが3人になり、その直後さらに一人が加わって、〈Cecil〉をリーダーとするパーティメンバーが4人になる。
そんなメンバーが集まりだす過程の会話の中、今更ながら佐竹先生がそう言えばってことを亜衣菜に尋ねていた。
〈Cecil〉『んー?オフでの知り合いしかいない時は本名で呼ぶのが多いかな!』
〈Cecil〉『りんりんはりんりんだし!』
〈Cider〉『そうなんですか』
そんな質問の回答に佐竹先生は納得したのかどうなのか、正直判別しづらいリアクションを見せたけど、それ以上に頭文字Cが並ぶログがややこしいって思ったのは俺だけだろうか?
そんなことを思っていると——
〈Cecil〉『あたしと弥生ちゃんの名前空目するねw』
〈Daikon〉『文字数一緒だもんね』
〈Cider〉『すみません、ややこしくさせてしまって』
〈Cecil〉『いあいあ!謝ることなんもないよ!』
〈Cecil〉『間違いは誰にでもある☆』
どうやらみんな同じことを思っていたことが判明し、俺は少しホッとしていると——
〈Reppy〉『いつぞやアタシとリチャード間違えてる奴いたなー』
〈Reppy〉『あ、よろー』
〈Cecil〉『え、そんな人いるの!?w』
〈Daikon〉『レッピーさんこんばんは。そんなこともあったね』
〈Cider〉『こんばんは』
〈Zero〉『入ってきていきなり人のことを愚弄すんなw』
〈Cecil〉『でも〈Reppy〉と〈Richard〉でしょ?文字数全然違うじゃーんw』
〈Zero〉『やかましい』
〈Cider〉『でも誰かしら名前似てる人っていますよね。私はゼロさんに似てる人だと、〈
〈Daikon〉『たしかに。しかも同じギルドの【
〈Reppy〉『あー、たまに間違えて見つけて話しかけそうなるわ。ザラは
〈Zero〉『いやでもじろさん金髪じゃん』
〈Reppy〉『頭になんか被ってたら髪色なんか分かんねーよ』
定刻ギリギリにレッピーがやってきて早々、俺たちは早速The・雑談を交わしたわけだが——
〈Cecil〉『え、待ってw』
〈Cecil〉『ザラさん?じろさん?誰w』
〈Cecil〉『【Goldhunter】ってどこw』
〈Cider〉『すみません、私もセシルさんに同感です・・・』
明らかになる会話の温度。
そして思い出す、俺もだいもレッピーも、野良募集で数え切れないほどパーティを組んできた
〈Daikon〉『【Goldhunter】は〈
〈Zero〉『いや待てだい!この会話はそういう話じゃない!w』
〈Daikon〉『え?』
〈Reppy〉『天然記憶力魔人だなw』
〈Cecil〉『みんな詳しいんだね!w』
〈Cecil〉『あたし【Vinchitore】の全員すら知らないのにw』
〈Zero〉『お前んとこは人多すぎw』
〈Reppy〉『まー【Vinchitore】の幹部でもねーのにクソほど有名なお前も大概だけどな』
〈Daikon〉『ゼロやんが主催の募集すぐ集まるもんね』
〈Cecil〉『さすがりんりん』
〈Zero〉『え、なんでそんな話なってんの?』
そして気づけば俺の話になっていて、俺はみんなにツッコミをいれている。
おかしい、まるで立ち位置が【Teachers】での会話と同じじゃないか。……いや、でもメンバーにだいと亜衣菜とレッピーだもんな。むしろこれは、当たり前?
と、どうでもいいことを考えだした俺だったが——
〈Zero〉『というかこんな話してる場合じゃねーだろ!』
〈Zero〉『とりあえず一戦!練習しよーぜ!』
ハッと我に返った俺は、このゆるーい流れを断ち切るように今日集まった目的を思い出させようと発言するが——
〈Reppy〉『おいおい初メンツだぜ?まずは会話からお互いのことを理解してだな』
〈Zero〉『全員リアルで知り合いなんだからいらねーだろっ』
絶対わざとなんだろうけど、レッピーから予定調和のふざけた発言が飛んできて、俺はそれを叩き切る。
〈Cecil〉『あはは!w』
〈Cecil〉『りんりんはりんりんだなーw』
〈Cecil〉『でもたしかにリアルでは友達だけど』
〈Cecil〉『お互いのプレイヤースキルはわかり合ってないから、りんりんの言う通りとりあえず練習してみよっ』
〈Daikon〉『そうだね。亜衣菜さんはレッピーさんと佐竹先生と組んだことないもんね』
〈Reppy〉『いあ、一回アタシの募集にセシル来たことあるぜ』
〈Cecil〉『あるね!w』
〈Reppy〉『あの時はグラップラーだったけど』
〈Cecil〉『あたし殴るぜー!だったけどw』
〈Cider〉『そうなんですね。私はこの中だと誰も組んだことないです』
〈Cecil〉『今日遊べば、みんな組んだことある人なるから大丈夫!w』
〈Daikon〉『うん、そうだね』
〈Reppy〉『じゃ、習うより慣れろだし』
〈Reppy〉『作戦の打ち合わせとかスキル調整とか置いといて』
〈Zero〉『え』
〈Reppy〉『全員このメンツだったらこう戦うかな、ってイメージで一戦かましてみよーぜ』
〈Zero〉『マジ?』
〈Cider〉『分かりました』
〈Daikon〉『了解』
〈Cecil〉『おけい!じゃあ
〈Zero〉『え、マジ!?難度MAX!?』
〈Reppy〉『女みたいにごちゃごちゃ喚くな♂だろてめー』
〈Cecil〉『りんりん以外女の子なのにね!w』
〈Zero〉『やかましい!』
そして、亜衣菜の声かけからあれよあれよと流れが決まる。
俺としては佐竹先生の動きについて打ち合わせを密に重ねてから戦略の確認を兼ねた練習にしたかったが……ええい、ままよ。
女は度胸とはよく言ったものか、思いの外まずは実戦派が多数を占めていた仲間たちに促され、俺はコントローラーを持つ手を動かして、〈Zero〉を動かすのだった。
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