第547話 栄光の第一位
〈Gen〉『結果はっぴょーーーー!!』
現在リアル時刻は23時48分、まもなく今日という日も終わりを向かえそうな時の中、俺たち【Teachers】はまだまだ見慣れぬハーヴェルトの街のプレイヤーハウス入り口前に集結していた。
正直結果も何も既に全部分かっているのだが、そこにはあえて触れないのは、俺たちのリダへの優しさだな。
そんなリダのログを、律儀に俺もだいもお互いのPCの前で見守った。
〈Gen〉『第一回【Teachers】PvP選手権の映えある第一位は・・・』
〈Yume〉『栄えあるじゃなかったっけ?』
〈Yukimura〉『漢字表記はどちらも合ってるんですよ』
〈Yume〉『ほほ〜』
〈Hitotsu〉『さすが国語の先生っ』
そんな発表途中のリダの漢字変換に、リダの次のログが出るまでの間、地味に勉強タイムが入ったが、国語の先生か。そういやゆきむらの奴、採用試験どうだったんだろ?
分かりきってるこっちの結果発表じゃなくて、ゆきむらの結果発表って、いつだったんだっけか?
そう思って調べようかなと思ったところ。
〈Gen〉『ダカダカダカダカダカダカダカダカダーン!!』
〈Jack〉『セルフドラムロールーーーーw』
これを打ってるせいで謎の沈黙があったのかと苦笑いしながら、俺は一旦持ったスマホを置いて、小さく笑いながらモニターに目を向け直した。
〈Gen〉『2勝1敗でチームナンバー①、③、④!!!!!』
〈Gen〉『ふぐっ;;』
〈Pyonkichi〉『くっそーーーー!!』
〈Loki〉『全敗は・・・けっこう凹むっすねーw』
〈Yume〉『いぇ〜い☆』
〈Jack〉『いぇーーーーいw』
〈Yukimura〉『やっと勝てました』
〈Earth〉『ぶい☆』
〈Soulking〉『ぶい☆』
〈Senkan〉『だい様様だわw』
〈Hitotsu〉『だいさん強かったです!』
〈Daikon〉『みんなのおかげだよ』
〈Zero〉『どんまいリダチームw』
そしてようやくなリダの発表に、その反応は白黒ハッキリというご様子だ。
まぁなんたって2勝チームが3つある中、1チームだけ全敗だもんな。
ロキロキがいても、ってのがちょっと不思議だけど、ぴょんもいたしな。あのノーガード戦法といい、多分そこらへんがあのチームの運命を分けたのだろう。どんまいリダとロキロキ。
〈Pyonkichi〉『今日の負けは明日の勝利への第一歩!!』
〈Pyonkichi〉『この悔しさを糧にヒーローは強くなる!!』
〈Pyonkichi〉『なぁみんな!?』
そんな俺が勝手に敗因として考えた奴は、当然この程度の敗北でしおらしくなるなんてことはなく、むしろそのヒーロー設定まだ覚えてたのかって関心したくらいだった。
しかし「なぁみんな!?」って、このノリに合わせるとかだりーなー、なんて思ってると。
〈Yume〉『ちなみに3戦しての生き残り合計何人だった〜?』
〈Pyonkichi〉『!?Σ(゚д゚lll)』
ゆめがウォーターカッター並の恐ろしい切れ味でバッサリとぴょんのセリフを刈り取った。
俺がやったら絶対ぴょん以外からも責められそうなのに、こうも堂々とやってのけるとは……ゆめ、おそろしい子……!
〈Yume〉『わたしたちは4だった〜』
〈Pyonkichi〉『あたしら0!!』
〈Gen〉『0!!』
〈Yume〉『知ってる^^』
〈Jack〉『うちは1戦目3、2戦目0、3戦目2で5かなーーーーw』
〈Daikon〉『私たちは0,3,1で4だよ』
でも、ゆめの質問に対する回答を見る中で、おっ、と思うことが判明する。
第一試合の俺たちは3-0の完全勝利で、たしかゆめチームはだいチーム相手に最後一騎打ちになったんだったよな。
で、第二試合は俺たちは全員だいによって瞬殺されて0-3の完封負けで、ゆめチームはゆめ無双で3-0の完全勝利。
そして第三試合は俺たちはあーすだけ死んだ2-0勝利で、だいたちは最後だいとロキロキの一騎打ちになったらしいから、1-0か。
なるほど、そうなると——
〈Yume〉『だってリダ〜』
〈Gen〉『なるほど!つまりガチ一位は・・・』
〈Soulking〉『いや、もう分かりきってるからっ』
〈Jack〉『いぇーーーーいw』
〈Gen〉『ジャック・ゼロやん・あーすチーム!!』
〈Gen〉『って喜ぶこはえーよ!?w』
〈Earth〉『ぶいぶいぶい☆』
〈Zero〉『全然きづかなかったわw』
〈Yukimura〉『おめでとうございます』
〈Daikon〉『おめでとう』
〈Senkan〉『おめ!w』
〈Hitotsu〉『おめでとうございます!』
〈Yume〉『おめ〜。最後のあの戦い方は強いチームだよ〜』
〈Yukimura〉『そうですね、文字通り何も出来ませんでした』
〈Soulking〉『異常回復はちゃんと積まないとだねっw』
〈Senkan〉『そんなんだったのか?』
〈Daikon〉『メイン削りが毒のスリップ』
〈Hitotsu〉『えっ!?』
〈Yume〉『プラス移動速度ダウンで逃げられないやつ〜』
〈Gen〉『えぐいなw』
〈Jack〉『あれはゼロやんの作戦勝ちだよーーーーw』
〈Jack〉『くもんがメモってたくらいだしーーーーw』
〈Loki〉『マジすかっ』
〈Zero〉『マ・・・いや、なんで俺より驚いてんのw』
と、いうことらしい。
見事総合優勝になった我がチームだが、これはあれだね、勝利の女神だいが俺に発破をかけてくれたからの賜物だ。
……とはいえ、正直1戦目はジャックパワーで2戦目は完敗もいいとこだったから、個人的にあんまり総合優勝って気はしない。
しかも最後の勝利はこの編成だから可能だったに過ぎないし。
本戦を見据えていくとさ、だいと亜衣菜と組むわけじゃん? 今回の作戦取るとして、相手に状態異常を治せるヒーラーがいたらお終いじゃん? マジでどう戦うかは、本気出して考えてかないとなー。
なんて、俺は表向きみんなと笑って話したけど、心の中では次の戦いを見据えていた。
〈Gen〉『じゃ、火曜はストーリーとか進めて、土曜にまたPvPやるか!w』
〈Jack〉『みんなはボイチャの用意しとくといいかもねーーーー』
そしてリダが今日の活動を締めてからジャックが補足的にボイチャ指南を始めたりと、なんだかんだみんな日が変わってからもあーだこーだ今日の戦いを振り返ったり雑談したりして、もう小一時間ほど、俺たちの会話は続くのだった。
☆
「今日は遊び倒したなー」
「うん。楽しかったね。でも流石に疲れたし、身体痛くなった」
「それなー。身体バキバキだよ」
やっぱりみんな、LAが好きないいギルドだな。
盛り上がった会話からそれを再確認した午前1時前、ぼちぼちみんな寝る流れになったので、俺とだいもその流れに乗って今日はログアウトを実行した。
そして椅子を回転させてだいの方を向きながら、肩を回したり大きく伸びをしたりすると、コキコキと小気味いい音が鳴り響く。
まー、途中休憩も取ったけど、ほんと今日はずっとLA三昧だったもんな。マッサージとか受けたい気分だぜ。
と、そんな固くなった身体をほぐし中の俺に、だいがどこか少し楽しそうな視線を向けてくる。
いや、今君疲れてる感じだったじゃん、と思うけど……あ、なるほどね。
俺がゆめに勝ったら、何でもしてくれるって約束だったもんな。
それでこいつは、俺に何かしらの命令されるのを待ってる。
この表情はそのそわそわってことだろう。
……いや、普通そこはこっちが楽しみにするところじゃね?
それを楽しみにするってもうただのM……って、まぁうん、だいは元々そうか。
たまに暴走すると恐ろしいことになるけれど、基本属性はそっちだもんな。
なら——
「おいで?」
そういうことなら、何してもらおうか。
そんなことを考えながら、俺は立ち上がりベッドの上に移って座り、座ったまま両手を広げてだいを呼ぶ。
すると俺の移動をじっと目で追いかけていただいが、S極が近くにやってきたN極レベルに素早く反応して、俺の腕の中に収まった。
まぁ俺がSだとしても、お前はNじゃなくMだけどな……なんて、さすがにこれはしょうもないか。
俺の腕の中に収まりながら、嬉しそうで楽しそうな顔を浮かべて俺を見上げるだいの可愛いさったら、もう言葉に出来るレベルを超えている。
そしてその表情は完全に俺の命令待ちだ。
これで俺が「何もいらないよ」とか言ったら、きっとしょんぼりしちゃうんだろうなぁ。
そんな意地悪な心も浮かぶけど……でもほんと、最後勝てたのは諦めないって気持ちをだいがくれたからで、感謝するのはこっちで、俺が何かしてあげるべきなんだよな。
……あ、そうか。じゃあ俺が何かしてあげる、が、つまりだいに何かさせる、って解釈でいいのか。
最終的な展開は……まぁ想像通りとして。
さて、そこに至るまで、何をしてもらうかね。
俺の腕の中で喉を鳴らしそうなレベルでご機嫌な様子のだいの頭を撫でながら、俺は頑張ったお互いにご褒美をあげるべく、ちょっとだけ
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